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【暮らし】

楽しく体操「かいごよぼう」 「ごぼう先生」引っ張りだこ

教室に参加した女性は、簗瀬寛さん(右)とツーショットで撮ってもらった写真を見て大喜び=さいたま市のデイサービス施設「やさしい手ゆめふる」東大宮店で

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 かいごよぼう(介護予防)を縮めて「ごぼう」−。愛知県岡崎市のデイサービス施設経営、簗瀬(やなせ)寛さん(32)考案の「ごぼう体操」が人気だ。口を大きく開けて発声する口腔(こうくう)体操から、左右の手で別々の動きをして脳トレにつなげる体操まで多種多様で飽きない。しかも、いずれもいすに座ったまま短時間でできるので、高齢者も取っつきやすい。体操を紹介するDVDは全国2000以上の高齢者施設で使われ、本人も「ごぼう先生」として引っ張りだこだ。 (白鳥龍也)

 「せーのっ、あ・い・う・え・お。いいですねー」

 さいたま市内のデイサービス施設で、ごぼう体操教室が始まった。トレードマークの茶色の作務衣(さむえ)を着た簗瀬さんが、約三十人の利用者の間を満面の笑みを浮かべながら歩く。

 口腔体操は、口の周りの筋肉を動かし、食べ物などが気管に入る誤嚥(ごえん)の予防になる。これを三回繰り返した後は両手でグー、チョキ、パーを作る体操。慣れたら右手をグー、チョキ、パー、左手をパー、チョキ、グーと同時に動かす体操に。次は右手で二拍子、左手で三拍子を刻む。だんだん難易度が上がる。

 できそうでできない動きには、お年寄りたちの間から自然に笑いが。簗瀬さんは「できなくていいんです。一生懸命に体を動かそうという気持ちが大切」と繰り返した。「笑って楽しむこと」がごぼう体操の一番の目的だ。

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 簗瀬さんは高校時代、国体に出場するほどボクシングに打ち込んだが、腰のけがなどから卒業後鍼灸(しんきゅう)師に。高齢者の訪問診療をする中で「いったん悪くなった体を治すことは難しい」と、介護予防の大切さを実感。スポーツ経験を生かし、ボランティアで介護施設で体操を教え始めた。

 車いすでも無理せずにできる動きは、現場経験から考案。体操のバリエーションは約百種類に上る。DVDを自主制作し、インターネットでも動画を発表すると、爽やかな笑顔と話術からいつしか「大人のための体操のお兄さん」「介護界のアイドル(カイドル)」と呼ばれ、評判になっていった。

 全国の施設などから請われ、ここ数年で開いた出張教室は約三百回という。著書「介護界のアイドル・ごぼう先生のみんなを笑顔にする魔法」(講談社)や、商品化したDVDの「ごぼう先生といっしょ!毎日10分健康イス体操」(キングレコード)も好評だ。

 この日も、約四十分の教室後は利用者一人一人と握手し記念撮影。施設でもふだん、DVDを見ながらごぼう体操をしているとあって、先生本人の登場に会場は大盛り上がり。緑の“勝負服”でおしゃれしてきた女性(92)は「会えるとは夢にも思わんかった。カッコイイ! 本当に楽しかった」と興奮しきりだった。

 多くの現場を見てきた簗瀬さんによると、介護は本人にも家族にも「想定外のうちに始まってしまうもの」。それだけに、日々続けてもらうごぼう体操は「何ができて何ができなくなるのか、介護を考えるきっかけにもなる」とPR。今後も「“孫”代表としておじいちゃん、おばあちゃんを元気にする情報発信をしていきたい」と威勢がいい。

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 体操教室の様子は動画で見られます。QRコードをスマホなどのアプリで読み込むか、「中日新聞・電子編集部」で検索。 

 

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