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【暮らし】

<食卓ものがたり>大粒もっちり 甘みじわり ギンナン(愛知県稲沢市)

「もうここにもできとる」。ギンナンの出来を見る小川美和子さん=愛知県稲沢市で

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 私事ながら、ギンナンは苦手だった。雨の日にイチョウ並木の歩道で踏みつぶされ、異臭を放っているのがそのイメージだった。茶わん蒸しの具に入っていれば口にもしたが、好きこのんで食べる人の気が正直、知れなかった。

 だが、愛知県稲沢市の「祖父江ぎんなん」を口にした時、その誤りに気付かざるを得なかった。直売所のキャッチフレーズには「ぎんなんは生鮮野菜です」とある。ほほう、その生鮮野菜とやらの味をみてやろう。試食品は殻を割って電子レンジで加熱し、塩を振っただけのものだ。

 まず見た目。世間の焼き鳥屋などで見かけるものより二回りほど大きい。味はどうか。一粒口に入れる。まず歯が驚いた。何だ、このもちもちした感じは。かむほどにじわっと果肉のエキスがにじみ出てくる。ギンナンなのに、なぜ甘みが出るのか。後からついてくるほのかな苦味がさわやかだ。確かめるには一粒では足りない。二粒目に手を出したのは言うまでもない。

 隣の岐阜県出身者が知らなかったのは、いささか恥ずべきことだが、愛知県は日本一のギンナン産出県だ。中でも、稲沢市祖父江町では粒の大きく高品質なギンナンづくりに努め、ブランド化に成功した。

 栽培の中心地だという名鉄尾西線の山崎駅周辺を歩く。そこかしこにイチョウの木が生え、地面を広く青いネットが覆っている。ここにギンナンを落として収穫するのだ。臭いのきつい果肉は機械で取り除き、殻のギンナンだけにする。それを倉庫に入れてむしろの上で乾燥させるのだが、その前に水洗いの試練が。水に浮く品質の悪い粒は取り除いてしまう。

 「今年は台風で実がたくさん落ちてまって、大忙しやったわ」と言うのは、祖父江町山崎の小川美和子さん(66)。落ちた実はすぐ加工しないと質が落ちる。「でも、また新しいのができとるわ。ほら」。小川さんが枝を裏返すと、黄色い実が大きくなっている。やがてこの実もだれかの口を驚かせるに違いない。

 文・写真 三浦耕喜

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◆買う

 祖父江のギンナンは東京の料亭などへ直接卸す分が多く、近所のスーパーではなかなかお目にかかれない。JA愛知西の「産直広場一色下方店」(稲沢市一色下方町)で入手できる。水曜日は休み。

 小分けされたギンナンの袋には生産者の氏名とイチョウの木の種類が記され、味比べもできそう。稲沢商工会議所が開発したという「銀杏カレー」=写真=もある。カレーとギンナンとの相性は食べてみてのお楽しみだ。

 いつもなら10、11月が出荷のシーズンだが、今年は天候により出荷は不安定に。出荷状況はJA愛知西の祖父江町支店=電0587(97)1131=まで確認を。

 

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