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【暮らし】

<Life around the World> カラダ喜ぶ健康法

 朝晩は寒くなったが、体を動かすには心地よい季節。日本ではランニングがブーム。人々は秋空の下、爽快な汗をかいている。世界にも、その国の気候風土や歴史、食材などにちなんだユニークな健康法がある。エッと思う方法もあるが、取り組む人は真剣そのものだ。

◆米国 気分はマーメイド

マーメイドスイミング初挑戦のクロエちゃん(左)。「自分じゃないみたい」=米ペンシルベニア州で

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 米東部ペンシルベニア州カーボンデールに住むクロエ・マンクーソちゃん(9つ)は、両脚を固定する色とりどりの尾ひれをまとい、地元のプールで泳いだり、もぐったりしていた。人魚気分を味わえる「マーメイドスイミング」だ。

 五輪の競泳で圧倒的強さを誇ってきた米国。国勢調査によると、水泳はウオーキングや器具を使った運動とともに国民に親しまれるスポーツだ。マーメイドの教室も女の子を中心に人気を集めている。

 バタフライの練習でマーメイドに魅了された競泳選手のメール・リーバントさん(26)は「全身を使う水中ヨガのよう。楽しみながら泳力向上にもつながる」と解説。各地で手ほどきしてきた経験から、水を怖がる子どもが人魚になりきることで「五倍速く」水泳になじめるようになるという。

 初挑戦のクロエちゃん。将来の夢は五輪の体操選手だ。両脚を同時に動かす感覚に慣れるまで不安げな面持ちだったが、講師のヘイリー・ブーヒーズさん(18)の指導で尾ひれを大きく動かすコツをつかむ。「いいよ」「完璧よ」と褒められ、水中で逆立ちから起き上がる技を披露。「自分とは違う生きものになった感じ」と得意げだった。

 ただ、両脚の自由が利かない分、陸に上がるのは一苦労。体重の軽い子どもより大人の方が大変で、プールサイドに座ろうと両腕の力を振り絞るブーヒーズさんは「尾ひれが重くて…」と苦笑い。やはり人魚は水の中が快適?

 (ニューヨーク・赤川肇、写真も)

◆中国 四つんばいでGO

四つんばいで歩く韓書鎖さん(右から2人目)=北京で

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 北京の中心にある、歴代の皇帝が愛した「北海公園」に毎朝、四つんばいで動く数人の集団が出現する。散歩する観光客が、写真を撮るのもお構いなしだ。

 創始者の韓書鎖(かんしょさ)さん(81)はゾウ、トラ、クマ、ゴリラ、カンガルーの動きを見事にまねる。五十八歳の時、心臓病やぜんそくで早期退職。「四つんばいの姿勢は血行を良くして心臓にいい」と医者から勧められ、動物園に通い詰めて「奥義」を習得した。体のゆすり方や手首の動きは本物のようだ。

 それから公園で毎日、はい続けると、垂れていた右心房が正常の位置に戻り、ぜんそくも治ったという。十〜二十分続けると効果があるらしい。

 手袋を借りて「歩いてみる」と、ひざを伸ばしたまま、手の指先を立てて地面につけるだけで、太ももの裏が張ってつらい。右足、右手、左足、左手と連続的にゆっくり前に出すが、数メートル動くと、どっちを動かしていいか分からなくなる。頭に血が上り十メートルで汗が噴き出た。

 次の日、筋肉痛になったが、普段動かしていない筋肉を動かした証拠。祖先は四つんばいだったので、立って歩くのは体に悪いことかもしれない。

 テレビなどで取り上げられ、弟子も全国に。国家体育総局から「五種類の動物で歩く健康法」として認定を受けたという。

  (北京・安藤淳、写真も)

◆英国 もっともっと光を

SADに悩む夫のためセラピーランプを選ぶリズさん=ロンドンで

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 緑が多いロンドンでは晴れの日、多くの市民が芝生に寝転がり、日光浴を楽しむ。そんな市民を悩ませる冬特有の病が「SAD」だ。「Seasonal Affective Disorder(季節性感情障害)」の略で、「悲しい」の意味も兼ねる。

 SADは冬の日照時間の少なさに起因する。最短の日、ロンドンの日の出は午前八時すぎ、日没は午後四時前で、総じて曇りがちで暗い。ある調査では、ロンドン市民の25%がSADを経験。気分が落ち込み、外出が億劫(おっくう)になり、うつ状態になる人もいるという。

 そこで近年、セラピーランプなる光療法が注目を集めている。太陽光代わりに発光ダイオード(LED)の光を浴び、SADの症状を和らげる試みだ。

 ロンドンの有名デパート「ジョン・ルイス」の照明売り場には、セラピーランプがずらりと並ぶ。価格は五十〜二百ポンド(約七千五百〜三万円)だ。

 ランプを興味深げに見ていた客のリズさん(28)は「オーストラリア出身の夫が毎冬、落ち込んでいる。彼に元気になってほしくて買いに来た」と話す。

 試しに、千ルクスのランプの光を浴びてみた。直視できないまぶしさだが、店員のアーネストさん(38)は「毎朝、三十分ほどの使用が効果的」と平然と言う。

 (ロンドン・沢田千秋、写真も)

◆タイ 髪にも眉にもハーブ茶

グラスにレモン果汁を入れてかき混ぜると鮮やかな紫色に=バンコクで

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 レモン果汁をグラスに注ぐ。マドラーでかき混ぜると…。あら、不思議。濃い青色の液体が二十秒ほどで、鮮やかな紫に変身する。

 液体の正体は「バタフライ・ピー(蝶(ちょう)豆)」というマメ科の花のお茶。タイでは「アンチャン」と呼ばれ、道端や公園に咲く。花を乾燥して作るハーブティーは広く親しまれている。

 「自然のままの色です。デトックス(解毒)作用があるんですよ」。首都バンコクのカフェ「キャンディ・クレープ」のマーケティング担当ボンコッチェさん(36)は説明する。

 色のマジックは、目にいいことで知られるアントシアニンの働き。花に含まれるこの色素が、レモンの酸に反応して起きる。

 ボンコッチェさんによると、美容効果と見た目の美しさから、特に三十代以上の女性に人気だという。

 バタフライ・ピー自体にうま味はない。カフェでは砂糖と塩を加え、アイスティーにして九十五バーツ(約三百二十円)で出している。くせがなく、爽やか。レモンが一役買っている。

 バタフライ・ピーは、髪を豊かで艶(つや)やかにするといわれ、シャンプーの成分にも利用されている。

 ユニークなところでは眉の育毛。立派な眉毛が好まれるタイでは、花をすりつぶして子どもの眉に塗り、毛の成長を願う。

 (バンコク・北川成史、写真も)

※海外特派員が世界各地の暮らしぶりをリポートする「世界の暮らし」は、第三土曜日に掲載します。

 

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