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【暮らし】

離乳食や生活習慣 歯科の立場から子育て支援

離乳食の内容や食べ方、姿勢を観察する歯科衛生士の大山たかねさん(左)=愛知県新城市で

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 離乳食の指導を中心に、歯科の立場から乳幼児の成長をサポートする取り組みが始まっている。愛知県内で開かれている母親教室を訪ねると、離乳食の食べさせ方や授乳の仕方、抱っこや寝かせる時の姿勢が子どもの歯並びに影響を与えるなど、あまり知られていないことがたくさん。健やかに育てるためのポイントとは−。 (小中寿美)

 待合室に置かれた子ども用のテーブル。母親たちがそれぞれ用意してきた離乳食を食器に並べる。おかゆをモグモグ、ゆでたニンジンをカミカミ。一歳前の赤ちゃんから二歳までの子どもたちが、母親から食べさせてもらったり、自分で手づかみで食べたり。傍らで歯科衛生士が見守る。

 愛知県新城(しんしろ)市の今泉歯科で今月開かれた母親教室。院長の今泉三枝さん(50)は、小児を診てきた経験から、生活上の注意をもっと早く教えたいと考えるようになった。「正しい食べ方を学び、悪い習慣を切り離すことは、健康な体づくりにつながる」と個別指導を始め、四年前から教室も開く。二カ月に一度、約二十組の親子が通う。

 一歳になったばかりの長女を連れた母親(31)は二回目の参加。前回は、手づかみ食べの練習のために作ったかぼちゃのおやきを「小さい」と指摘され、今回は直径三センチほどにした。ちょうど一口大では、赤ちゃんが一口で食べられる量を学べないからだ。赤ちゃんがほおばりすぎてオエッとなると、歯科衛生士の大山たかねさん(31)は「たまにある。気を付けて見守って」と母親を励ました。

 長女が食べながら体を前後に揺らすと、すかさず今泉さんがテーブルの下をのぞき込む。足を乗せる台を置いて「姿勢を安定させることも大事」と話した。

 講話もあり、今回のテーマは「歯並び」。指しゃぶりが影響することはよく知られているが「口呼吸や唇かみ、爪かみが出っ歯の原因になることもある」と今泉さん。下の歯の一部が上の歯の外に出る交叉咬合(こうさこうごう)は多くの場合、生活習慣が原因。うつぶせ寝や頬づえなどのちょっとした力で下あごがずれて起きるという。

 注意点は他にも。あごは授乳期から発達するため、授乳の仕方にも注意が必要。赤ちゃんが大きく口を開けて深く乳房をくわえるようにし、母親の姿勢は左右どちらかに偏らないようにする。首が据わるまで、抱っこは赤ちゃんの背骨がまっすぐになるようにする。両手で赤ちゃんの手足を包み込むようにする。

 離乳食は一般的に、歯が生え始める前の生後五〜六カ月ごろから始め、まずはトロトロとしたものをのみ込む。「母親は次の一口の準備のために、赤ちゃんが食べる様子が見えておらず、ペースが速くなりがち」と歯科衛生士の石野恵さん(39)。下唇にスプーンを当てて上唇で挟むのを待ち、のみ込んだのを確認してから次に進める。この際、スプーンは水平に抜く。

 昨年度実施した県歯科医師会の調査では、離乳食の完了期とされる一歳六カ月の健診で、幼児の16%は歯が十二本に満たず、奥歯でかみ砕く力が未完成だった。今泉さんは「月齢だけで判断せず、個々の状態に合った指導が必要」と訴え、ゼロ歳から歯科で健診を受けるよう勧める。

 一般的には、歯科医師による歯の検査は一歳半健診が初めてという人が多い。東京都歯科医師会の担当者は、ゼロ歳児段階からの歯科医師によるサポートは「珍しい」といい、小児歯科の専門医などに受けられる指導を問い合わせてほしいと話している。

 

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