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【暮らし】

<考えようPTA>埼玉県教委が画期的通知 「加入は任意」順守促す

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 PTAへの加入は任意なのに、実質的に強制・自動加入のように運営され、各地で問題になっている。自治体の教育委員会には毎年、保護者から入会をめぐる問い合わせが寄せられる。しかし、任意団体のPTAに踏み込んだ対応を取る教委はこれまでほとんどなかった。そんな中、埼玉県教委が校長ら学校の管理職に出した通知が、全国のPTA関係者から「画期的」と話題になっている。どんな内容なのか。 (今川綾音)

 “強制・自動入会”の実態を、関東地方の四十代前半の会社員女性が話してくれた。

 女性は、子どもが小学校に入学した昨年四月、加入届を出していないのに会員になったことに気付いた。「PTAは任意加入。入会申込書を送って」。PTAにこう伝えたが、回答はなかった。昨年十一月、脱会を求める手紙を出し、ようやく非会員になった。

 しかし、PTAの広報誌が「自分だけ配られなかった」と子どもが落ち込んでいた。女性は「子どもへの差別につながりかねない。学校は配り方に配慮してほしかった」と話す。

 PTAは任意の社会教育関係団体で、入会は個人の自由だ。だが、実質的に強制・自動加入になっていることが少なくない。

 そんな中、埼玉県教委が一月に県内の小中学校長に宛てた「PTA活動を円滑に推進するための留意事項について」と題した四項目の通知が注目されている。

 各項目が詳細に説明されており、関係者から「参考になる」と好評という。例えば任意加入の周知方法では、「入退会は自由である旨を明記したPTA規約等を事前(入学説明会等)に各保護者へ配布し、PTA会長等から説明することが考えられる」と説明。子どもへの教育的配慮についても、「保護者が会員であるか否かを前提とせず、全児童生徒を対象にする必要がある」とした。

 結社の自由を保障する憲法二一条をPTAの関連法規とし、「国民は誰でも希望すれば、『任意加入の団体』としてのPTAを結成・解散及び参加・脱退することができる」と記した。

 県教委の担当課は通知を出した理由を「任意加入などPTAの原則をめぐり、学校が対応を誤ると、保護者は学校に不信感を持つため」と説明。その上で「保護者には原則を理解したうえで、PTAなど学校活動に積極的に参加してほしい」と促している。

 県内自治体の教委からは「対応の指針を出してもらい助かった」と、肯定的な声も出ている。ただ、本年度も県教委には、保護者らからPTAに関する相談や苦情が例年並みの二十件ほど寄せられたという。

 一方、他の自治体の動きは鈍い。千葉県松戸市では、「任意加入の説明がなかったが、他校でも同様か」と市民から相談を受けた山中啓之(けいじ)市議(38)が市教委に市内各校のPTA会則について確認したところ、「把握していない。任意団体なので干渉できない」との回答だった。

 小学校新一年生の保護者向けに配布物で「任意の社会教育団体」と説明しているところもあるが、「任意団体なので介入できない」というのがほとんどの教委のスタンス。任意加入であることを周知するよう、PTAに積極的に呼び掛ける教委はなかなかないのが実情だ。

 PTAに詳しい文化学園大の加藤薫教授(日本文化論)は「加入の強制や非会員の子に対する扱いなどの問題は、学校不信にもつながり、保護者と学校の連携の妨げとなっている。埼玉県教委の通知は、そのような状況を改めようとするものだ」と話している。

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※PTAに対する意見や体験談を募集しています。メール=seikatut@tokyo-np.co.jp=件名に「考えようPTA」と記入を。

 

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