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【暮らし】

ホンネで語る 夫の妊活

検査結果などが書かれた診断書を手に、不妊治療の経験を話す村橋ゴローさん。妻が手書きで成否を記したメモも貼り付けてある=東京都文京区で

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 不妊治療を受ける夫婦が増えている。夫が不妊の原因の場合もあるという認識が広がるとともに、妻が治療を受ける主体となる場合でも、積極的に協力態勢を整える夫も増えてきた。「妊活」を経験した男性たちにホンネや体験談を聞いた。 (花井康子)

 名古屋市名東区の会社員男性(40)と妻(41)は結婚十三年。結婚からしばらく、妊娠に至らなかった。双方の両親から初孫への期待を感じたし、仕事先で「まだか」と言われることもあった。夫は「友達や同僚には相談しづらく、苦しかった」と話す。

 四年目に不妊を疑い、夫婦で検査を受けると、夫の精子にも、妻の子宮にも原因があることが分かった。夫は「ショックだった。ほとんど知識がなかったのでネットや本で調べた」と振り返る。

 投薬などの治療を始めてすぐ、夫婦ともに三十三歳のとき男の子を授かった。引き続き「きょうだいを」と、今度は精子を子宮に注入する人工授精を試みた。しかし、病院の順番待ちに加えて激しい痛みなど治療による負担も軽くない。「心身共につらいのは妻。続けるもやめるも意見は言えなかった」と言うが今年、体の負担を考えて中止した。

 男性は「独身時代は子どもと接する機会がなく、どちらかというと苦手だった。でもつらい治療の結果、できた息子はかわいくて仕方がないし、夫婦の結び付きも強くなった」と話す。

 「俺たち妊活部」(主婦の友社)の著書があるライターの村橋ゴローさん(45)=東京都在住=も結婚して七年間、自然妊娠せず、夫婦共に四十歳のときに治療を始めた。

 排卵の周期に合わせるタイミング法六回、人工授精四回、体外で卵子と精子を受精させ、培養した受精卵を子宮に戻す体外受精三回。すべて妊娠には至らなかった。村橋さんは「できることで妻をサポートしたい」と、通院の日は家事を全て担い、治療が一段落したら気晴らしに食事や買い物に誘った。「とにかく笑わせよう」とたわいもない話で盛り上げ、「二人で頑張ろう」と声を掛けた。

 四回目の体外受精で男の子を授かった。村橋さんは「結果はどうであれ、協力の仕方でその後の夫婦関係も変わる。小さな気遣いを積み重ねながら夫婦で取り組まないとうまくいかない」と力を込めた。

◆不妊原因、半数は男性 早めの意識と行動を

 男性の不妊治療に詳しい独協医科大越谷病院(埼玉県越谷市)泌尿器科の医師・小堀善友さん(42)によると、晩婚化などの影響で不妊は近年増加傾向にあり、全国で6組に1組は不妊。80万人以上の男性が不妊症の可能性があり「約半数は男性側に原因がある」と指摘する。

 だが、若い男性は自分の体に無頓着なことが多く、不妊治療に乗り出すのは女性から、という場合がほとんど。早い段階で検査する必要があるが、精液検査などを婦人科で受診することに関して「女性ばかりで行きづらい」「自分が原因と知りたくない」などの意見が挙がっている。35歳を過ぎると精子も卵子も老化するが「射精できていれば妊娠させられる」と誤った認識をもつ男性も多い。

 小堀さんは「不妊治療は年齢が大きく関わりスピード勝負だが、男性の意識が低いとうまくいかない。男性側から治療を始める行動が広がってほしい」と話している。

 

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