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【暮らし】

今どき禁煙、会社挙げて 社員も経営も健康に

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 社員に禁煙を積極的に促す企業が増えている。就業時間中の禁煙にとどまらず、喫煙室を廃止したり、禁煙外来の受診料の一部を補助したり。社員の健康に配慮することが経営面の成果にもつながる「健康経営」が注目されている。社員からもおおむね好評で、この流れは当面続きそうだ。 (寺本康弘)

 データからも企業の本気度がうかがえる。厚生労働省の労働安全衛生に関する調査によると、受動喫煙防止対策に取り組む事業所の割合は二〇一二年の81・8%から一六年は85・8%に増えている。このうち対策レベルが最も厳しい「屋外を含めた事業所敷地内全体を禁煙」は14・0%。次いで厳しい「事業所の建物内全体を禁煙とし、屋外のみ喫煙可能」は39・3%だった。つまり対策に取り組む事業所のうち半数超が建物内を全面禁煙としている。

 医療機器製造会社テルモ(東京都渋谷区)は二〇一三年から対策に取り組み、禁煙治療にかかる費用の補助や喫煙室廃止をしてきた。すでに約十年前から就業時間内は禁煙だったが、担当者は「医療を支える会社として社員の健康増進が大切」と対策を強化したという。

 国内五カ所の研究所と工場の喫煙所は一五年度末ですべて廃止。また、医師の禁煙治療を月一回社内の診療所で受けられる。ゲーム感覚で取り組んでほしいと「禁煙クエスト」と題したチェックシートを希望者に配布。百日間の禁煙達成者には、会社がボールペンを贈呈する取り組みも行っていた。

 こうした対策の積み重ねで、社員喫煙率は一三年度の34%から一六年度には26%に減った。二十年以上喫煙していた野村慎一さん(50)は約一年前から挑戦。現在も禁煙が続いているが、「会社のお金を使って禁煙をしていると思うと、やめないわけにはいかない」。

 一見、個人の嗜好(しこう)への会社の介入にも映るが、人事担当者は「賛成が圧倒的に多い」と話す。社員からも「喫煙者には直接言えないが、臭いが嫌だった。会社が取り組んでくれてうれしい」との意見も寄せられる。

 同社が禁煙対策に投資している額は、医療費補助など年間五十万円程度。担当者は「喫煙に伴う病気が減れば、社員の医療費も減る。業績への効果は表れていないが、長期的には会社も発展していく」と話す。

ゲーム感覚で禁煙できるよう工夫したチェックシート=テルモ提供

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 ヤフー(千代田区)も二〇年度に向けて喫煙室をすべて廃止する。パソコンやスマホで受診できる「オンライン通院禁煙プログラム」が無料で受けられる。担当者は「心身ともに最高のコンディションで業務に取り組めば、最大のパフォーマンスを上げられる」と話す。

 非喫煙者にもメリットがある禁煙制度を設けているのが、IT企業のSCSK(江東区)だ。

 同社は、禁煙に加え、ウオーキングや「朝食を食べる」、「週二日の休肝日」など健康によいとされる行動にポイントを与える制度を行っている。年間の獲得ポイントに応じ現金がもらえ、一年前には約十万円をもらった社員もいた。

 禁煙に関してはさらに徹底している。一六年に就業規則を変更し、受動喫煙防止の観点から職場の懇親会は禁煙とした。同社の喫煙率は17・8%(一七年)と年々減少している。

 担当者は「社員の健康こそがすべての礎。健康に配慮している会社のイメージが採用活動にも好影響を及ぼしている」と話している。

 

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