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【暮らし】

<くらし調査隊>遺影の処分 僧侶「感謝込め自ら始末も」

イラスト・伊藤亜美

写真

 「額装された母の遺影をどう処分したら?」。本紙生活部に、津市の女性(66)からこんな相談が寄せられた。確かに、普通の写真ならごみ袋に入れればよいのだが、遺影となるとごみとして扱うのは忍びない。どうしたら、心残りなく遺影を処分できるだろうか。 (出口有紀)

 女性は十年以上、空き家にしていた実家を売るために片付けていたところ、この悩みにぶつかった。仏壇店に、仏壇と一緒に和室のかもいに飾られている遺影も処分してほしいと頼んだところ「写真は処分した例がない」と断られた。

 自宅に持ち帰って保管することも考えたが、自宅は夫の実家。かもいの上には、夫方の先祖の写真が並んでいる。「私の母は、夫のご先祖からしたら他人」。まぜこぜにしてはいけない気がして近所の寺に聞いてみると、やはり「夫婦双方の親や先祖の遺影を、一緒にして飾るのは聞いたことがない」と言われたという。

 女性は子どもたちのことも考える。「残る子どもたちにとって、母の遺影は思い出になるとは限らない。子どもたちが困らないよう、きちんと片付けておきたい」と話す。

 仏壇店で断られたところから問題は始まったわけだが、遺族に代わって遺品を片付ける「遺品整理士」を育成する一般社団法人「遺品整理士認定協会」(北海道千歳市)の副理事長、小根英人(こねひでと)さん(40)は「遺影は仏具ではないため、仏壇店では処分しないこともある」という。となると、女性と同様に困っている人は、多いのかもしれない。

 同協会に尋ねてみると、遺影の処分についての相談は昨年、前年のほぼ倍の百十二件寄せられた。「遺影を通常のごみとして処分しても大丈夫か」などの問い合わせが多かったという。同協会では、遺品整理の専門業者や寺でおたきあげをしてもらう方法を紹介している。ただし、全ての寺社が受け付けているわけではないし、専門業者に頼むと、一枚三千〜一万円程度の費用がかかるという。

 僧侶に悩みを相談できるインターネットサイト「hasunoha(ハスノハ)」で回答を担当している愛知県愛西市の大法寺住職、長谷雄蓮華(はせおれんか)さん(45)にも聞いてみた。寺社や専門業者への相談が一般的ではあるものの、自分で処分しても「感謝と謝罪の気持ちを込めれば、ご先祖に失礼にはならない」という。

 額装から取り出した遺影をきれいな紙に包み、粗塩で清め、一般ごみとして、各自治体の定めに従って処分するのも一つの方法。額装も分別の決まりに従い、処分する。

 大法寺でも近年、檀家(だんか)から遺影を預かることが増えているという。「夫の実家で、妻の家族の遺影が飾れなかったり、住んでいるマンションにかもいがなかったりと、事情はさまざまです」と長谷雄さんは話す。

 預かった遺影は額装を外してクリアファイルに入れて保管し、法事の際に取り出して飾っている。長谷雄さんは「データにしてしまって、法事の時に紙焼きするという方法もあります」というアドバイスもしてくれた。

 ◇ 

 読者の知りたいこと、疑問に思っていることを、記者が調べます。質問は「くらし調査隊」とタイトルを書き、ファクス03(3595)6931か、Eメールseikatut@tokyo-np.co.jpへ。

 

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