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【暮らし】

不眠の高齢者の転倒注意 ふらつきやすく…骨折も

イラスト・えびほたて

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 年を取ったせいか、夜はなかなか寝付けず、朝は暗いうちから目が覚めてしまう−。こんな話を聞くことは多い。高齢になると、活動量が減ることなどから不眠になりがち。ただ、安易に睡眠薬に頼ると、ふらつきやすくなったり、認知機能が低下したりすることがある。医師と相談して適正に使うことが重要だ。 (白鳥龍也)

 「最近、よく眠れなくって」。神奈川県に住むパート女性(56)は、ことしの夏ごろ、在宅介護をしている実母(81)からそんな悩みを聞くようになった。その分、昼間に居眠りしていることが気になった。夜に寝床から起き出して歩行器を使いながらトイレに行く機会が多くなり、目が届かないこともあった。

 八月のある日、心配が的中。深夜にふと母の部屋をのぞくと、母が床に倒れて「脚が痛い」とうめいている。翌朝の受診で左大腿(だいたい)骨骨折が判明。手術の上、二週間の入院を余儀なくされた。

 久留米大医学部の内村直尚(なおひさ)教授(神経精神医学)によると、一般に不眠症は年齢とともに増える。高齢者は昼間の活動が減り、代謝も落ちてあまり眠りを必要としなくなる。また「睡眠ホルモン」であるメラトニンの分泌が減る、体内時計の調整機能が衰える、といった原因もある。

 六十四歳以上の約千五百人に行った海外の調査では、寝付きが悪い場合、不眠症状のない人に比べ転倒リスクは約一・五倍、夜中に目覚めやすいケースは約二倍にもなるとの結果が出ている。夜間にトイレに行くことに加えて、昼間にぼうっとしてしまうことも転倒につながりやすいという。

 不眠を防ぐには「昼間に十分日光を浴びて運動をすることが基本」(内村教授)。メラトニンは起床から十五時間程度で分泌されやすくなる。昼寝をせず、あまり早く寝床に入らないといった工夫も必要だ。

 それでも不眠が続いて睡眠薬に頼る場合には、体質と症状に合った種類と量、正しい服用が重要。高齢者は少量で薬が効きやすく、排せつする力も弱まる。かえってもうろうとしたり、夜中にトイレに行くことになったりして転倒リスクを増やす危険性も。多くの種類を長期使用している場合は「医師と相談し減量や種類の変更の検討を」(同)と話している。 

◆在宅介護 4人に1人が睡眠薬

 製薬会社のMSD(東京都千代田区)が今夏、全国のケアマネジャー約八百三十人に行った調査で、担当している在宅の要介護高齢者約二万七百人のうち、ほぼ四人に一人の五千三百人余が睡眠薬を使っている実態が分かった。

 そうした高齢者についてケアマネジャーが心配しているのは「日中の活動が低下している」「昼寝などの仮眠が多い」「規則正しい生活が送れていない」「足元がふらついている」ことなど。特に、ふらつきの原因として七割のケアマネジャーが「睡眠薬の影響が考えられる」と答えた。

 このため、複数回答で半数以上が「薬の見直しが必要」と考えていることが明らかに。一方、「本人が眠るため」、また「介護者の夜間介護の負担を減らすため」薬は必要との回答も六〜七割に上り、より適切な睡眠薬の利用を求めている様子が浮かんだ。

 

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