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【暮らし】

発達障害 業務の「見える化」で安心 会社員男性がツール自作

管理ツールの使い方を説明する高梨健太郎さん

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 物忘れが激しかったり、人とのコミュニケーションが苦手だったりする発達障害がある人には、就労に困難を抱えている人が少なくない。だが、特性を把握して工夫すれば、仕事をスムーズに進めることができる。東京都小金井市の会社員高梨健太郎さん(40)は、パソコンで仕事の流れを詳細に把握するツールを自作。業務を“見える化”することで自身の不安をなくし、やりがいを感じながら働いている。 (花井康子)

 高梨さんは十年前、注意欠陥多動性障害(ADHD)と診断された。忘れやすく段取りが苦手。業務が増えると何から手を付けていいか分からず不安感が高まり、頭が真っ白になった。簡単な仕事もこなせず落ち込み、「忘れたらどうしよう」と眠れなくなった。精神疾患を抱え、休職や退職を繰り返した。

 三年前、エアコンの室外機を置く台などのメーカーに勤めたのを機に、発達障害を自分の特性として受け入れ、会社や周囲にも伝えた。「忘れるなら全部書けばいい」と、パソコンの表計算ソフトでスケジュールや必要な作業などを管理するツールを自作し、表にして把握するようにした。

 仕事の目的、完了までの必要な具体的作業、各業務の着手日と締め切りなど一つ一つ、手順まで細かく記入。「○○さんにメールを送る」「受信する」なども細かく書き入れた。

 業務完了の責任が自分にある場合は「当方」、相手の場合は「先方」と記す。総タスク(やるべきこと)数、完了数、未完数、責任の数などが自動的に算出される仕組みで、未完の業務には自動的に丸印が付く。

 自分が抱える仕事の量や内容、締め切りなどがひと目で分かり、抜けや漏れがなくなった。完了までの見通しが付き、不安もなくなった。高梨さんは「すべて書いてあると思えばパニックにならずに集中でき、必要な仕事を時間内にこなせるようになった」と言う。

 今は会社の管理部門の法務担当として働く傍ら、体験を話し、このツールを広めるイベントを開催する。高梨さんは「発達障害は個人の特性。支援となるツールを使えば仕事ができるようになり、自信にもつながる」と話している。

 ツールに関する問い合わせは、高梨さんにメール=takanashi.kentarou@gmail.com=で。

◆子ども向け職業選択の本も

 厚生労働省の調べによると、障害者手帳を持っている発達障害者を含む精神障害者が昨年度、ハローワークを通じて就職した件数は4万1367件で、前年比2971件増だった。そんな状況も背景に、ADHDのほか、さまざまな発達障害者の就労への関心は高まりつつある。

 7月には発達障害の特性に合わせた仕事を紹介する本「発達障害の子のためのハローワーク」(合同出版、2700円)が出版された。探究心が強い子なら薬剤師、こつこつ取り組むのが得意ならスーパーの品出しなど、特性を生かせる26業界・160の仕事を紹介。読み仮名付きで小学生でも読める。合同出版編集部の金詩英さん(28)は「『こだわりが強い』など特性を生かした職業を、発達障害の子も自分で見つけられるようにとの思いを込めた。親や先生と読み、現実的な仕事の選択に役立てて」と話した。

 発達障害や不登校などの子をもつ親の会「子どもの問題を考える会名古屋」(事務局・愛知県刈谷市)は11月、発達障害者が周囲の協力を得ながら働く姿を描いた映画の上映会と相談会を開催。保護者ら65人が参加し、悩みを話し合った。代表の桑本いづみさん(62)は「理解を広め、関わり方を考えるきっかけになれば」と話した。

 

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