東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 暮らし > 暮らし一覧 > 12月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【暮らし】

<考えようPTA>重い役廃止 活動ごと募集 名古屋市立吹上小の改革

写真

 PTA活動の鬼門は、年度替わりに行われる各学級の委員選出。活動が多忙な上、一年間縛られる精神的な負担もあって敬遠されがち。名古屋市立吹上小学校(昭和区)のPTAは昨年度で、活動を一手に引き受けていた「学級委員」を廃止。本年度から、活動ごとに希望者を募る運営方法に切り替えた。改革に伴う負担や歴代役員らへの遠慮などから、改革に二の足を踏むPTAは少なくない。吹上小PTAはどう改革を進めたのか。 (今川綾音)

 吹上小では昨年度まで、各学級二人ずつの学級委員が、広報づくりや家庭教育セミナーの企画などのPTA活動を一手に引き受けてきた。一年間の負担は重く、敬遠される役だった。

 新年度の学級委員を決めるのは四月。立候補する人はまれで、学級ごとに保護者による投票で決まるのが通例。引き受けられない場合は、学校に次点の人を教えてもらい、自分で交渉する仕組みだった。

 実質的な強制ととらえる人もいたが、目立ったトラブルはなかった。しかし昨年度の学級委員を決める投票で、選ばれた保護者から就任を辞退した上、後任探しも「できない」という連絡があった。

 PTA会長の下方丈司(しもかたたけし)さん(48)は「その保護者の気持ちも分かる。この制度は変える必要がある」と、問題意識を共有する他の役員と改革に着手。昨年七月、保護者に調査を行った。本部役員・学級委員を「ぜひやりたい」人はゼロだったが、一方で「活動に参加したくない」人は全体の三分の一の少数派だった。

 役員会で検討し、「それならば会員が活動への関わり方を選べるようにしよう。『参加したくない』と答えた人は三分の一だから、残りは参加してくれる可能性のある人。やりたい人がいない活動は見直せばいい」と判断。昨年十二月の意見交換会では不人気の「学級委員」を思い切って廃止する案に保護者の反対意見はなく、今年一月の臨時総会で活動ごとに参加者を募集する仕組みに変えた。

 新年度を控えた今年二月、広報づくりやセミナー出席、給食試食会など十八の活動を紙一枚にまとめて参加希望を募った。活動の見える化も奏功し、すべてに参加者の手が挙がった。

 保護者の募集方式への反応は想像以上だった。五月の運動会の後片付けには七十五人が挙手。昨年度の二十人を大きく上回った。

 下方さんは、歴代役員がすでに活動のスリム化に取り組んでいた点も有利に働いたと指摘。「本年度の活動に参加した人の姿を見て、『やってもいいかな』と思う人が増えるよう、新年度に向けていい流れを作りたい」と話している。

写真

◆なぜ変えられない?「苦労より任期切れ待つ」

 必要と感じても改革に踏み切れないPTAは多い。本紙に寄せられた読者の声からは、(1)会則変更の労力(2)前任者らへの遠慮(3)声の上げにくさ−の三つの壁が浮かび上がる。

 通常行事の運営だけで大変なのに、会則案を作り役員会と総会で了承を得るのは大きな負担。東京都の小学校の男性会長は「変える苦労をするより、動かず任期を終えようと考えがちだ」と明かす。

 役職経験者の推挙で会長などになると、築いてきたものを変えることへの遠慮も働く。愛知県の小学校の女性会長は「歴代役員の助言が『前例踏襲』を求める重しとなる」と話す。「目立つ行動を取って保護者間で浮きたくない」という心理も壁となる。

 仕事や家庭事情などで積極的に参加できない人は声を上げにくい。ある保護者は「献身的に活動している人ほど『内情を知らないくせに負担減だけ主張する』と批判する。そういう人とやり合って変えていく時間と心の余裕がない」と話す。

<募集> PTAに対する意見や体験談を募集しています。メール=seikatut@tokyo-np.co.jp=件名に「考えようPTA」と記入を。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報