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【暮らし】

「電話が怖い」若者たち(下) まず相手の立場を考えて

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 見知らぬ人からの電話が苦手な若者たち。電話連絡に慣れている上司らとの意識差とともに、仕事に支障が出ている実態を、十八日掲載の(上)で紹介した。事前連絡なしで電話をかけてくる人を「電話野郎」と否定的に呼ぶ若者たちだが、仕事の世界では「まず電話」の考えがまだ根強い。「電話が怖い」若者たちにどう接して、有用性を伝えればいいのか。 (寺本康弘)

 福井銀行(福井市)は昨年から、内定を出した学生とコミュニケーションを取る手段として、若者が使い慣れているスマートフォンのアプリで利用できる非公開の会員制交流サイト(SNS)を採用している。

 「大事なことを伝えるには、まず電話」が基本の金融業界。しかし、人事担当の勝木昭宏さん(32)は「最近の学生は電話の受け答えが苦手そうなので、(SNSなどの)柔軟なコミュニケーション手段を使っても良いと考える」と話す。

 SNSでは、福利厚生メニューや先輩の働きぶりなどの情報を流したり、懇親会への案内などを届けたりしている。人事へ質問や連絡もできるので、電話をかけずに済むのはもちろん、メールのように形式を考えなくてよい。人事側は効率的に情報交換でき、学生も使いやすいと好評という。

 一方で、間もなく社会人になる内定者には、電話対応も教えないといけない。勝木さんは、学生に電話する機会をとらえ、対応を教えている。電話に出た時に名乗らず「はい」としか言わない学生には、「『○○大学の○○○○です』と、しっかり名乗らないと」と注意。銀行側に頼み事をするのにSNSだけで済ます学生には「電話をかけて」と教えた。入行後の研修でも学ばせる。

 学生気質にあったコミュニケーション手段であるこのSNSアプリ。企業からの問い合わせも多く、福井県内や都内などの企業約四十社が導入した。開発したホームページ制作会社「サーフボード」(福井市)の担当者、本庄孝司さん(40)は、背景に電話の苦手な学生が増えたことなどがあると指摘する。「内定者を確保したい企業側が、学生のより使いやすい手段を用意したいため」と分析する。

 一方、若者はどう電話対応を磨いたらいいのか。

 公益財団法人「日本電信電話ユーザ協会」の技能検定部長の吉川理恵子さんは、ビジネスマナーの前提として「電話でもメールでも相手を思うことが大切」と話す。「ビジネスマナーは自分が恥をかかないためのものではなく相手に恥をかかせないためのもの」と指摘する。

 同協会は二〇〇九年から電話応対技能検定を実施。受験者は増加傾向で、吉川さんは「固定電話の対応に慣れていない若者に、危機感を抱いて受験させる企業もある」などと説明する。就職に向けて検定の勉強を取り入れる高校もある。

 「苦手克服には電話に慣れることが必要」と吉川さん。具体的には、友人同士で役割を分担して実演したり、祖父母や親戚などに電話をかけたりすることを勧める。その際、事前連絡はせず、自分の名と所属を名乗り、電話をかけた理由も説明し、相手に通話の了解も得る。

 吉川さんは、さまざまなコミュニケーション手段の長所と短所を理解することが必要と指摘。「相手の仕事や立場を知り、状況を想像すれば、最適な手段を選択できる。時には手紙が最も気持ちを伝えられることもある。対応に工夫が生まれてくると、電話対応も苦痛でなくなる」とアドバイスする。

 

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