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【暮らし】

のどに詰まりにくい餅の食べ方 小さく切って、雑煮で

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 正月の食といえば餅。しかし、高齢者がのどに詰まらせてしまう事故は毎年起きている。のみ込んだり、かんだりする力が弱ってくるのがその原因。とはいえ、年を重ねればだれでもその力は落ちるもの。そこで、高齢になっても餅をおいしく楽しく味わう方法を、嚥下(えんげ)障害に詳しい藤田保健衛生大病院(愛知県豊明市)リハビリテーション科医師の柴田斉子さん(47)に聞いた。 (河郷丈史)

 のどの奥には、気管と食道の入り口が並んでいる。呼吸するときは気管が開いて食道が閉じるが、食べ物をのみ込むときは逆に食道が開き、気管のふたが閉じる。のど周辺の筋力が加齢などで衰えると、のみ込む力が弱まるのと同時に、こうした開け閉めもうまくいかなくなる。「そのため、食べ物が誤って気管に入りやすくなります」と柴田さんは説明する。

 高齢者は歯が少なくなっていたり、かむ力が弱まっていたりして、あまりかまずにのみ込んでしまいがち。しかし、詰まるのを防ぐには、餅をかみすぎかと思うくらいよくかんで、極力変形しやすい状態にすることが最も重要。のどを通るときも、形が変わりやすければ詰まりにくくなる。さらに、唾液を含ませて滑りを良くすれば、詰まるリスクは相当に低くなる。小さく切らず大きいままでほおばるのはもちろんご法度だ。

 調理の仕方も工夫できる。「焼くよりも、ゆでた方がやわらかくなるし、水分にくぐらせる分、滑りも良くなります」と柴田さんは言う。ゆでた餅を使った雑煮なら、汁と一緒に口にするので食べやすい。水分でむせやすい人は、汁にとろみをつけるとより安全だ。

 大根おろしと一緒に食べるのもお勧め。大根の水分で餅がやわらかくなるし、滑りも良くなる。一方、のりを巻いた焼き餅やきな粉餅は、避けたいところ。

 あごが上がると気管の入り口が広がってしまうため、食道でなく気管の方に入ってしまいやすくなる。のみ込むときはしっかりとあごを引く。高齢者が餅を食べているときは、しっかりかめるように周囲はあまり話し掛けたりせず、目を離さないようにしよう。

 嚥下食として、粘り気を抑え、やわらかくした餅も販売されている。柴田さんは「かむ力、のみ込む力が弱っている人にはあまり餅は勧められない。どうしても食べたい場合は、主治医と相談した上で嚥下食を試してほしい」と話す。

◆背中をたたいて吐き出させる 

 東京都のほぼ全域を管轄する東京消防庁によると、管内で餅がのどに詰まって救急搬送された人は、昨年までの五年間で五百四十二人。九割が六十五歳以上の高齢者だった。月別では一月が突出しており、年間の四割近くを占めた。

 もし餅を詰まらせてしまったら、周りの人はどうすればいいか。同庁によると、声が出せなかったり、顔色が急に真っ青になったりしたら、気道がふさがれている疑いがあるのですぐに一一九番を。そして、できる限り自力でせきをさせる。難しければ、「背部叩打(こうだ)法」という異物を吐き出させる方法が有効だ。

 患者の後ろに回り、片手で胸か下あごを支えながらうつむかせる。もう片方の手のひらの付け根で、左右の肩甲骨の真ん中あたりを数回、強くたたくとよい。

 

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