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【暮らし】

<正月に食す>(4)花びら餅(京都府) 「初釜」彩る上品な味

白みそあんとゴボウを求肥(ぎゅうひ)で包む甘春堂の花びら餅=京都市で

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 古都の新年を彩る「花びら餅」。新年最初の茶会「初釜」で使われる京都の和菓子で、ふっくらした半円の求肥(ぎゅうひ)にみそあんと、蜜漬けされたゴボウがくるまれているのが特徴だ。求肥から透けて見えるピンクのあんが、新春の華やかさをまとう。

 ルーツは宮中のお正月にある。全国和菓子協会によると、宮中ではかつて新年に、お雑煮に見立てて「菱葩(ひしはなびら)」というお餅の上にみそやゴボウを載せた料理が食されていた。明治維新のころ、宮中から菱葩を賜った裏千家の家元が、京都の和菓子店に菱葩を模した菓子を作るように依頼。「初釜」で使われるようになり、いつしか「花びら餅」の名前で庶民に広がって、新年を祝う菓子として食べられるようになった。宮中では新年の料理にアユが供されていたが江戸時代にゴボウに代わり、菱葩に使われるようになったとの説もある。

 その後、滋賀など各地の職人も花びら餅をまねして作るようになり、現在では全国各地で販売されている。

 年末年始のみ扱う和菓子店が多い中で、一八六五年創業の老舗、京都市の甘春堂は、京野菜の「堀川ゴボウ」が取れる十二月上旬から一月下旬まで花びら餅を販売している。ゴボウは半日かけてゆでるため、独特のあくの強さは消え、指でちぎれるほど柔らかい。

 求肥は餅粉に砂糖水を加え火にかけて乾かしてから、円形の型で抜いて作る。直径約七センチ、厚さ約五ミリの丸い求肥に、白みそのあんと、天然着色料でピンクに色づけしたあんを載せる。その上に、丸一日砂糖蜜に漬けて甘みを染み込ませたゴボウを置き、求肥を半分に折ると花びら餅が出来上がる。

 「口に余韻が残り、お抹茶によく合う上品な味です」と専務取締役の木ノ下稔さん(37)。その言葉通り、みそのほのかなしょっぱさと、求肥とゴボウの甘みがあっさりと重なり合う。来年も食べたくなる、忘れられない味だ。

 文・細川暁子/写真・佐藤哲紀

 =おわり

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<メモ> 甘春堂の花びら餅は、今月下旬まで店舗のほかネット通販でも購入できる。1個から注文可能で、送料別、税込みで1個432円。日持ちは6日程度。(問)甘春堂=電075(561)4019

 全国のデパートに店舗が入る「叶(かのう) 匠壽庵(しょうじゅあん)」でも、8日まで花びら餅を販売する予定。大丸東京店や、伊勢丹新宿店など全国75店舗の店頭に並んでおり、1個税込み432円。日持ちは10日程度。(問)お客様センター=電(0120)257310

 

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