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【暮らし】

<パパ初育休 口唇裂の子を迎えて>(3)夏休み 育児の大変さ 身に染みる

きょうだい3人のエネルギーを発散させるため、西へ東へさまざまな場所に連れ出した=東京・上野の国立科学博物館で

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 さあ、待ちに待った夏休み。第四子が生まれて数日後の昨年七月下旬、長女(11)と長男(8つ)、次男(6つ)の小学校と幼稚園の一学期が終わった。これから私(37)の「イクメン」としての真価が問われることになる。

 育児休業の制度では、原則として子の一歳の誕生日前日までなら、いつでも休みを取ることができる。私が第四子の誕生直後に育休に入ったのは、上の子三人の夏休み対策のためだ。赤ちゃんには唇の上が裂ける口唇裂(こうしんれつ)があり、妻(37)の育児を支える必要があった。

 七月中は次男が通う幼稚園のプール開放のお手伝いをした。プールを設営し、園児の集団と一緒にプールにつかり、徹底的に水を浴びせられる。どうしても手伝えない日は、知り合いのママが交代してくれた。大変だったが、唯一の男手として先生方に喜ばれたのが救いだった。

 夏休み序盤は、三人の習い事をこなすだけで目が回った。長女はミニバスケットボール、ピアノ、そろばん教室。長男はサッカー、スイミング、そろばん教室。次男はスイミング。さらに三人とも、体操と囲碁教室にも通っている。これに小学校の補習やプール開放などが変則的に加わり、スケジュール管理に最も手を焼いた。

 夏休みなのに常に時計を気にする生活は、仕事のときと変わらない。違うのは子どもが相手ということだ。子どもたちはせかされないと動かない。ぐずったり、習い事を切り上げず次に間に合わなくなったりすると、こちらのイライラが募る。そんな中、ふと、こんなことを考えた。

 第一子の長女が生まれるまで、妻は温厚で「天使」だった。それが子が増えるにつれ、ささいなことで怒りを爆発させる「鬼」と化した−。そう私は思っていた。

 だが、実は「ささいなこと」ではなかったのかもしれない。私は同僚女性から「まさかあんたが育休を取るなんて」と驚かれるほど、仕事第一だった。鬼の角がニョキニョキ伸びていったのは、思い通りにならない子どもたちというより、育児の大変さを理解せず、協力を惜しむ夫のせいだったのだ。

 夏休みの中盤に習い事が休みになると、子どもたちの持て余したエネルギーのはけ口探しに追われた。近所から「子どもを外で遊ばせるな。うるさい」との匿名の手紙をいただいたことがあり、都内の自宅前で遊ばせることは、はばかられた。公園に行っても「ボール禁止」などのルールがあるし、図書館でも子どもたちは騒いでしまう。ならばと、東京・上野の国立科学博物館や、自分の趣味も兼ねて神宮球場へ野球観戦に。せっかくの夏休み、思い出づくりにと遠出もした。

 私と上の子三人で、名古屋市の「レゴランド・ジャパン」と三重県の「鈴鹿サーキット」の遊園地にも遠征した。不運にも台風の暴風雨にさらされたが、雨にも風にも負けぬ子どもたちは大喜び。ほかにも都内の「三鷹の森ジブリ美術館」や、千葉県の「鴨川シーワールド」、群馬県の「碓氷峠鉄道文化むら」、長野県の「チビッ子忍者村」に出かけ、結局、体験を「買う」ことで、魔の夏休みをやり過ごした。「また連れてって」と子どもたちには好評だったが、わが家にとっては痛い出費となった。

 育休中も休業開始前の賃金の最大67%が支給される。だが家族は増えており、給与が減ること自体が大打撃。だからこそ、男性の育休取得が進まなかったり、短期で終わってしまったりするのだろう。まあ、浪費した私が言っても説得力を欠くのだが…。 (山口哲人)

 =次回は二十四日に掲載します。

 

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