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【暮らし】

<パパ初育休 口唇裂の子を迎えて>(5)得られたもの 子の成長、しっかり実感

家族みんなの人気者となった第4子=東京都内の自宅で

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 二カ月間の育児休業で得た最大の成果は、家事や育児に対する私(37)の意識が根底から覆ったことだ。以前は「俺は仕事で疲れているんだから妻の役割だろ」と、旧来型の思考回路だった。だが実際に経験してみると、外での労働に匹敵する、または、それ以上に評価されてもいいと感じた。大変さは「早く職場復帰したい」と願うほどで、二カ月で体重が七キロ落ちた。

 育休中に宅地建物取引士など資格取得の勉強もできると高をくくっていたが、幻想に終わった。家事と育児は絶え間ないのだ。

 常に上の三人の子どもたちに、体力をからめ捕られる。余力があれば生後間もない第四子の三男ともふれ合いたい。洗濯、掃除、料理はエンドレス。長男(8つ)が高熱を出すなど突発的な出来事もあった。わが家では一人が病気になると、大体いつも全員に広がる。口唇裂(こうしんれつ)があり、唇の整形手術を控えていた赤ちゃんにうつしてはなるまいと、これまた心労が募った。

 核家族化が進み、女性の社会進出も当たり前となった今、育児や家事は妻の役割という考え方は通用しない。それでも多くの夫は、必要とされていることに気付いていない。いや、知らんぷりを決め込んでいるのかもしれない。

 会社や同僚に迷惑がかかる、自身の出世にも影響する、家計は苦しくなる、育児も家事もどうかかわってよいのか分からない−。さまざまな理由で、男性は育休を敬遠する。

 国のリーダーたる国会議員と雑談しても「男が育休を取るなんて、俺たちの時代では考えられなかった」と批判的な人もいまだに存在する。次男(6つ)が通う幼稚園では、あるママに「育休を取らせてくれるなんて本当に良い会社ですね」と感動された。裏を返せば、男性の育休が社会に浸透していない証しだ。

 厚生労働省の二〇一六年度の調査でも、男性の育休取得率は3%あまり。しかも取得期間も調べている一五年度調査では、最も多いのが、わずか「五日未満」(約57%)。次が「二週間未満」の約18%で、ほとんどが短期取得だ。

 育休中、私があり合わせの物で作った料理にも、長女(11)は「お父さん、ご飯おいしいよ」と、気遣いできる子に育っていた。赤ちゃんのおむつ交換もお手のもので頼もしかった。長男は習い事のスイミングで四つの泳ぎ方をマスターし、サッカーもめきめき上達。次男は育休中に字の読み書きができるようになった。

 二カ月という短い期間でも、子の成長を実感するには十分だった。赤ちゃんとも生後間もない時期を一緒に過ごすことができた。

 妻(37)からは「里帰り出産をした、上の三人の時より楽だったよ」と言われた。一度は孤独な育児で「鬼」と化した妻は、再び「天使」に戻るか。それは、育休後も育児や家事にしっかり向き合えるか、これからの私の頑張り次第だ。

 育休で得られたものは大きい。仕事に追われる世の中のパパに伝えられることがあるとすれば「育休は取らなきゃ、もったいない」。 (山口哲人)

 =おわり

 

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