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【暮らし】

公共の場授乳 賛成?反対?

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 授乳は授乳室でしてほしい−。そんな新聞投稿をきっかけに、公共の場での授乳を巡る「おっぱい論争」が巻き起こり、話題となった。外で授乳場面にいきなり出くわし戸惑ったとの声がある一方、授乳室がいつでもどこでも使えるとは限らない。母乳で育児中の母親や周囲の意見を紹介し、賛否をつなぐ懸け橋を探ってみた。 (中村真暁(まあき))

 この論争は昨年一月に朝日新聞に掲載された女子大学院生の投稿がきっかけ。大型商業施設の授乳室を使わず、飲食店で授乳する母親に遭遇。「目のやり場に困る。授乳は授乳室でして」と訴えた内容だった。

 すると、母親向けサイトなどネットを中心に議論が百出。賛否以外にも、公共の場で授乳室が少ない環境の問題、授乳が心理的壁となり外出を控える問題など議論は広がりを見せた。

 女性たちはどう思っているのか。東京都武蔵野市の会社員菅典子さん(43)は、飲食店や新幹線、夫の両親の前でも、胸が見えないよう工夫された授乳服を着て授乳している。「『電車で泣きだしたら』と思うと、帰省もできなかった。どこででも授乳できれば、母親は大きな心でいられる」と理解を求める。

 反対意見もある。栃木県佐野市の女性(78)は「人前での授乳は恥ずかしいこと。別の場所でして」と訴える。

 三人の子どもを育てる千葉県市川市の会社員佐藤鼓子(ここ)さん(36)もケープや羽織物で工夫し、公共の場で授乳した経験がある。一人で子ども三人を連れていると、授乳室を使うのをためらうこともある。上の子が授乳室で静かに待てず、他の利用者に迷惑をかける心配があるからだ。

 佐藤さんは一方で、「赤ちゃんと触れ合う機会がないから授乳を別世界のように感じるのでは」と指摘。「議員が議場で授乳できる国もある。日本でもそんな姿が見られれば、授乳への抵抗感もなくなるかも」

◆社会全体で子育てする機運を

 「母乳育児は外出が制限される」などという母親の悩みを解消しようと、授乳服を製造販売する「モーハウス」(本社・茨城県つくば市)。昨年、活動開始から20周年を迎えた。代表の光畑由佳さんは20年を振り返り、商業施設などの授乳室整備は進んだが、かえって「母親は授乳室や子育て支援施設に閉じ込められている面もある。社会全体で子育てする機運につながっていない」と指摘する。

 モーハウスは1997年に光畑さんが友人らの協力を得て創業。電車内で次女に授乳した経験から、胸を見せずに授乳できる外出着を考案、販売し始めた。

 光畑さんは昨年11月、新聞投稿をきっかけにネットなどでいろいろな意見が出たことから、公共の場での授乳をめぐる「全日本おっぱいサミット」を仲間とともに都内で開いた。

 光畑さんは、女子大学院生の新聞投稿について「授乳シーンを見る機会がなく、おっぱいは性的な存在としか情報が与えられてこなかった。(女子大学院生の)違和感は決して否定できない」と理解を示す。

 光畑さんは「賛否両方の意見を融合したい」と授乳服での授乳を推奨する。サミットでも、授乳服での授乳を母親たちに披露してもらった。

 

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