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【暮らし】

託児しない 子連れ出勤 愛知の中小企業

子連れ出勤専用の部屋。子どもの様子を見ながら仕事ができると好評だ=愛知県清須市で

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 出産後も女性が働き続けられるようにと、自動車部品の金型メーカー・エムエス製作所(愛知県清須市)は社内に「子ども部屋」を設けている。一般的な託児所とは違って保育士はおらず、子連れで出勤した社員が同じ室内で働きながら子どもを見守る。社員たちからは「子どもの成長を見ながら仕事もできる」と好評だ。(花井康子)

 社内の十畳ほどの部屋で、就学前の子どもたちがボールや積み木で遊ぶ。オフィス机にはパソコンや資料が置いてあり、子どもを連れてきた社員がそばで仕事ができるようになっている。

 きっかけは、出産を機に退職していた吉永美恵さん(32)=同県北名古屋市=が昨年七月に復職したこと。吉永さんはもともと、正確な資料作りでほかの社員たちから一目置かれる総務担当。退職後も「戻ってきて」と声が上がっていた。

 復職を持ちかけたが、吉永さんは「小さいうちは預けず、自分で育てたい」という考え。在宅勤務も検討されたが、情報管理などに不安が生じるため、迫田邦裕副社長(39)が空き部屋の利用を提案。ほとんど利用されていない社員の診療室で、「ベッドがあるので子どもがお昼寝もできる」と開放した。

 パートタイムで復帰した吉永さんは二歳の次女と出社し、この部屋で仕事する。幼稚園の休園日などには五歳の長女も一緒だ。昼食は弁当を持参したり一緒に外食したり。感染症でなければ、子どもの体調が悪いときも連れて来られる。吉永さんは「子どもの病気で休まざるを得なくなり、離職する女性が多い。子どもの日々の成長を身近に感じながら仕事もできて、ありがたい」と話す。

 同社は祝日も営業するため、藤本恭世さん(39)=同県稲沢市=は、いつもは保育園に預けている六歳の長男を連れて出勤する。同僚にみてもらい、違う部屋で仕事をするときもあるが「無理なく子育ても仕事もできる環境を整えてもらっている分、頑張ろうと思う」と力を込めた。

 同社社員は国内で約六十人だが、うち女性はパートを含む四人のみ。男性が多い職場で、別の視点で事業を企画したり、柔軟な働き方を示したりできる女性は重要だ。迫田副社長は「女性が多様な働き方をすることで、男性にも休暇をきちんと取るなど『働き方改革』を浸透させることができる。フレキシブルに対応し『新卒の女性が働きたい会社』を目指したい」と話した。

◆女性活躍推進で多様な価値観を

 女性社員を積極的に採用する企業が増えている。人材開発を支援するコンサルティング会社「リンクアーツ」(愛知県長久手市)社長の鈴木昌子さん(62)は「多様な働き方を認められると、女性だけでなく外国人などにも採用の幅が広がる。多様な価値観が生まれることは企業にとってプラス」と指摘する。

 女性が働きやすい環境の整備は、中小企業の方が柔軟に対応しやすい面もある。鈴木さんは「保育園を探さなくてもよくなるため、地元の女性が集まりやすく、子連れ出勤によって地域に根ざしやすくなる。宣伝費をかけなくても人が集まるようになる」と話す。

 一方で「長く会社にいれば成果が上がると見なすのではなく、本人の生産性を把握しないと、子育て中の社員を的確に評価するのは難しい」と課題を挙げた。

 

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