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【暮らし】

慢性腰痛に「これだけ体操」 安静より、動かして軽減

 国民病とも言われている腰痛は、はっきりとした原因が分からないことが多い。骨折やがんの骨転移、椎間板ヘルニアなどの明らかな原因が見つからない慢性の腰痛は、安静にするよりも、腰と体を積極的に動かした方が、予防や痛みの軽減につながる場合があることが分かってきた。手軽にできる体操を紹介する。 (稲田雅文)

 千葉県の四十代女性看護師は、十数年前に受けた整体をきっかけにぎっくり腰を発症し、慢性的な腰痛を患った。仕事中、採血で中腰になったり、長時間座ったりするとつらかったが、忙しくて医師に診てもらうこともできないまま症状は悪化。寝返りすらつらい状態になった。

 東京大病院22世紀医療センター特任教授の松平浩(こう)さん(整形外科)が診察すると、女性は運動不足の状態だった。腰をかばう行動が身につき、若いころからしていた水泳もやめていたという。

 松平さんは、磁気共鳴画像装置(MRI)や触診などで原因となる病気がないことを確認。腰を動かさないでいたことから、背骨や筋肉のスムーズな動きが失われて硬直化してしまったと判断した。「腰痛のときはできるだけ安静にしている方が良いと多くの人が考えているが、長期間腰を動かさないでいると、血流が悪くなり、かえって過敏に痛みを感じるようになってしまう」と説明する。

 指導したのは、自ら考案した「これだけ体操」。さまざまな体操があるが、これだけは続けてもらいたいと名付けた。基本は息を吐きながら、三秒間、腰を反らすだけだ。

 姿勢はイラストの通り。足を肩幅より少し広めに平行に開いて膝を曲げずに立ち、両手を指先を下にしてお尻に当てる。肩甲骨を寄せ、胸を開いてあごを引く。両手はできるだけ近づけて骨盤を前に押し込むイメージで腰を反らす。「“イタ気持ちいい”ぐらいがちょうど良い。一、二回を一日に数回やる」と松平さん。

 腰椎の骨の間には、クッションの役目をする椎間板がある。いちばん負担がかかるのは、四番目と五番目の腰椎の間。ちょうどベルトを着ける位置だ。

 椎間板の真ん中にはゼリー状の髄核という部分があり、猫背の姿勢や前かがみの状態での作業が続くと、後ろにずれてしまう。後ろにずれた状態を松平さんは「腰痛借金」と名付けた。借金が重なると、ぎっくり腰になったり、椎間板から髄核が出てしまうヘルニアになったりする。

 「中腰の作業や長時間のデスクワークが続いたときは“腰痛借金がたまっているな”と考える。その都度、これだけ体操をして借金を返済する。朝や昼の時間を決めて体操すれば、“貯金”もできる」と説く。

 気を付けなければならないのが、腰痛の原因が病気の場合だ。これだけ体操をしたとき痛みがお尻から太ももより下に響くときは「整形外科医を受診してほしい」と注意する。横になってじっとしていてもうずく場合や足の脱力がある場合も、がんや骨粗しょう症、椎間板ヘルニアを疑う。

 「ぎっくり腰になっても安静はせいぜい二日まで。慢性的な腰痛の多くは心配の必要がないもので、仕事にも早く復帰して無理なく働く方が、腰痛が慢性化しづらい。適度な運動や体操で腰痛が起きないよう自分でコントロールができるようになるのが望ましい」と語る。

整形外科医が考案

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