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【暮らし】

<ともに>グループホーム世話人(下) トラブル起きても安心感

咲凜ちゃんを連れて泊まり勤務をする大木亜季さん(左端)。パート職員の柘植茂子さん(右端)や入所者たちと談笑する=名古屋市中川区で

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 午後六時、夕飯の時間。知的障害のある人たちが暮らす名古屋市中川区のグループホーム「シャローム花塚2号ホーム」で、入居者たちがテーブルを囲んだ。世話人の大木亜季さん(39)の傍らでは、娘の咲凜(えみり)ちゃん(3つ)がにこにこと笑みを浮かべていた。

 月に十回近くホームで泊まり勤務をこなす大木さんは、咲凜ちゃんとの時間も大切にするため、子連れで出勤している。咲凜ちゃんはホームの人気者。入居者たちに「みんな笑って」と呼び掛けると場が和む。こうした穏やかな日常は、手厚い世話人の配置によって支えられている。

 ホームには、障害支援区分で最重度の「6」とそれに次ぐ「5」の知的障害の男女六人が入居している。国の基準では、入居者六人に対して一人の世話人が付けばいいことになっているが、このホームでは正職員の世話人に加え、主婦や学生らパート職員二〜三人も一緒に泊まり込む。

 ホームを運営する社会福祉法人「さふらん会」が市内に設置しているホームは、ここを含めて六つ。入居者計二十五人に対し、世話人は正職員十人とパート職員約三十人で計約四十人がいて、ローテーションを組んで入所者たちを世話している。

 こうした人員配置ができるのは、国の補助金に加え、名古屋市独自の補助制度があるからだ。二〇〇六年の障害者自立支援法(現障害者総合支援法)施行後、障害者の暮らしの場を入所施設からグループホームなどに移す地域移行が本格化した。それに伴い市は、ホームを運営する事業所に補助金を交付している。支援区分が重い障害者を多く受け入れるほど、補助金は多くなる。市は一七年度は約六十カ所の事業所に、計約二億五千万円を補助した。

 さふらん会が市から受ける人件費の補助金は、年間約千五百万円。法人管理者の繁原幸樹さん(35)は「自治体が独自に人件費を補助している例は全国でも珍しく、他の地域の運営者からうらやましがられる」と話す。

 パート職員の時給は、三カ月の試用期間中は九百円だが、その後は千円になり、泊まり勤務は一回約一万二千円が支払われる。入ったばかりのパート職員が慣れないうちは、正職員を多めに配置するなどして、一人で責任を抱え込まないように体制を組んでいる。

 ただ、それでも人手は常に足りない状態だ。今月、七人いた学生のうち、四人が大学を卒業し辞めてしまった。求人誌に募集広告を載せても、泊まり勤務や責任の重さから敬遠されがちで、あまり効果がない。派遣会社から紹介を受けたこともあったが、最初から仕事に来なかったりすぐに辞めてしまったりだった。

 パート職員の柘植茂子さん(75)は十五年前からホームで働いている。今も月に十回以上泊まり勤務をこなす。入居者がトイレを詰まらせて廊下が水浸しになるなど、夜間にトラブルはしょっちゅう起きる。だが、「私以外にも泊まっている人がいるので、相談できる相手がいて安心感がある」と話す。

 大木さんらは、県内の別の事業所のグループホームの世話人たちとも二カ月に一回集まって、情報交換をしている。「世話人には常に緊張感がつきまとい、臨機応変に対応しないといけないので孤独を抱えがち。愚痴を言い合える仲間が大事」と言う。 (細川暁子)

 

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