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【暮らし】

<始まる民泊>円滑運営のこつ  住民へ事前説明 丁寧に

「午後10時以降はお静かに」と4カ国語で書かれた注意書き=大阪市此花区で

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 住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行される六月十五日以降、全国各地で解禁される民泊。自治体に届け出れば、誰でも手軽に自宅や部屋に旅行者を泊められる。ただ、いざ始めたいと思っても、外国の人をどうもてなすか、近所でトラブルにならないかなど不安な点も多い。民泊を円滑に運営するには。国の特区制度を活用し、いち早く民泊を始めている“先輩”にこつを聞いてみた。(添田隆典)

 「やっぱり、ご近所へきちんと説明しとくことやないですか」。大阪市此花区に所有する賃貸マンションで、民泊を営む不動産業の松田順治さん(57)は話す。同市は国家戦略特区として、二年前から民泊が解禁されており、松田さんも半年前から市の認可を得て、旅行客を泊めている。

 マンションは四階建て。各階に一部屋ずつあり、空き部屋になっている二階の一室を民泊に利用している。人気の観光スポット「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」に近く、月の半分は旅行客が泊まるため、トラブルが起きないか不安は付き物だが、「おかげさまでいまのところ、苦情はゼロ件です」と言う。

 民泊を始める際、松田さんは司法書士にも頼んで、マンション内や道路をはさんで十メートル以内の近所に一軒ずつ説明して回った。入り口ドアには外から分かるよう、自らの携帯電話番号も張ってある。いずれも特区民泊のルールで定められたものだが、「何かあればすぐ苦情が言えるという点で、安心感があるのでは」と話す。

松田さんが営む民泊のダイニングキッチン=大阪市此花区で

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 新法では、家主が同居しない民泊は連絡先の掲示が義務付けられているが、住民への事前説明は自治体が独自に定めなければ、必ずしも義務ではない。ただ、どちらもやっておいて損はなさそうだ。

 宿泊客への周知も不可欠だ。松田さんは室内に宿泊マニュアルを備え付け、チェックイン時に必ず目を通すよう伝えている。「ゴミは施設から持ち出さない」「土足禁止」など十項目を日本語、英語、中国語、韓国語の四カ国語で表記。「午後十時以降はお静かに」との張り紙も四カ国語で書いて張った。

 さぞ、外国語が堪能なのかと思いきや、「英語がちょっと話せる程度」。それでも、インターネットの翻訳サイトを使えば、意味の伝わる文章は十分作れ、対面のやりとりでも翻訳機代わりに役立つそうだ。

 松田さんの民泊は2DKの間取りで八人まで泊まれる。畳の部屋もあるが、どちらかというとホテルに近い雰囲気。「観光で疲れた体をリラックスしたいという要望が一番。そこまで日本らしさを求めなくても満足してくれますよ」。宿泊者用に買いそろえたダブルベッド二つ、シングルベッド一つ、テレビ、冷蔵庫、電子レンジはいずれも中古で計三十万円。最近は民泊需要を当て込んで、必要な家具を一式卸値で販売したり、貸し出したりしている業者もあるという。

 松田さん自身は民泊のマンションに住んでいるわけではないので、基本的に宿泊客と顔を合わせる機会はないという。ただ、チェックアウト時に英語などで感謝のメッセージを書き置きしてくれる宿泊者も多く、「いざ始めてみると、思った以上に面白い。常に部屋をきれいに保つなど大変な面はあるけど、やりがいはありますよ」と話した。

 

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