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【暮らし】

広がる子ども食堂 課題は

 貧困や孤立といった事情を抱える子どもを対象に、食事の提供などの支援に取り組む「子ども食堂」。ここ二、三年で各地に増え、全国で千カ所ほどに達したともいわれる。温かい思いやりの輪が広がる一方、志だけで解決できない壁をどんな工夫で乗り越えるかなど、課題も浮上している。

 年に一度の「こども食堂サミット」が二月、東京・池袋で開かれた。全国から食堂運営者や行政関係者ら二百人余りが参加。支援を本当に必要とする子とどうつながるかなど、実践的なテーマの方策が話し合われた。

 「行政や社会福祉協議会(社協)と関わりを持っていますか? 人脈を広げつつ、食堂を続けることが大事です」。集いでそう助言したのは、大阪府豊中市の社協職員でコミュニティソーシャルワーカーの勝部麗子さん。社協が中心となり、支援事業を展開する。

 民間企業やNPOなどと連携し、デイサービス施設や居酒屋のスペースも使って、子ども食堂や学習支援を実施。市内にネットワークを張ることで、地域に支援が行き渡るよう気を配っている。

 個人情報保護の壁で、困窮世帯の子の存在を知るのが難しいのは皆に共通の悩みだ。勝部さんは社協と学校、スクールソーシャルワーカー、子ども食堂が連携し、支援に成功した例を挙げる。

 学校で弁当を食べない母子家庭の中学生を心配した学校教諭から相談を受けた勝部さんが、生徒に食堂を案内。親子で来るようになり、さまざまな社会保障制度を知って生活保護を申請したほか、生徒は学習支援で意欲が芽生え、諦めていた進学がかなったという。

 中京大教授で、あいち子ども食堂ネットワーク事務局長の成元哲(ソンウォンチョル)さんは「子ども食堂版つながりマップ」の作製を提案する。食堂を誰が支援し、誰が食材を提供して、どこから何人の子どもが来ているのかなど、全体像を把握するための図だ。

 子ども食堂の活動は、志が優先で丼勘定になりやすく、資金面も人間関係も難しくなるケースが少なくない。マップを作った名古屋市の食堂では、収支や人と物の流れを把握でき、これから連携すべき相手や課題を把握して、安定的に運営するための中長期計画を立てられたそうだ。

 困難を抱えた人の気持ちの尊重を提言したのは、NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長の赤石千衣子さん。子ども食堂が利用者にとって安心・安全な場であることの重要性を訴える。

 「食堂にはいろんな事情を抱えた人が来る。言いたくないときは言わなくていいと、言ってあげてほしい。アドバイスしたいと思ったとしても、最終的には本人が決めることなので押しつけないで。その人の尊厳を守ってあげてほしい」と、接し方の大切さを語った。

◆今春から映画公開

 子ども食堂を主な舞台にした映画「こども食堂にて」が今春以降、各地で公開される。児童虐待などの体験を抱え、里親や児童福祉施設などで「社会的養護」を受けて育つ子どもたちと、彼らを支えようとする周囲の大人たちとの触れ合いを描く物語だ。

 「映画製作チーム・Sunshine」のメンバーで、本作の監督の佐野翔音さん(58)は「社会的養護を受けている子どもたちの姿を普段目にすることは少ないと思うので、映画を通じてより多くの人たちに知ってほしい。自分の隣に、苦しみを抱えている子どもや家族がいるかもしれないという、気づきのきっかけになれば」と語った。

 映画に関する問い合わせは、同チーム=電03(4455)4649=へ。

 

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