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【暮らし】

なじもう!新職場(下) 放置はNG 会話の輪に

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 異動先に溶け込む術を学んだ四日の(上)に続き、今回は新しい仲間を迎え入れる側が気を付けるべきことを探った。教えを請うたのは引き続き、企業や官公庁のコミュニケーション研修の講師を務めるNPO法人「日本教育養成学会」(名古屋市中村区)理事長の青嶋宮央(みやお)さん(53)だ。 (河郷丈史)

 「放っておかれると『自分は歓迎されていない』と思ってしまう。積極的に話しかけてあげてください」。青嶋さんが最初に指摘したポイントがこれだ。確かに異動したばかりで不安なときに、放置されたらつらいもの。

 一口に話しかけると言っても、一方的に自分の話をするのではなく、相手が話しやすいよう質問を投げかけるのがこつ。「前の職場では何をされていたんですか」など、経験したことについて尋ねると話が弾みやすい。「本人が本音で話せる機会が増えるほど、職場にもなじめるようになります」

 その上で、ランチに誘うなど、職場以外でコミュニケーションを取る機会を積極的に設けよう。転勤者の場合、一緒に引っ越してきた配偶者や子どもも不安を感じていたりするので、家族ぐるみの食事会を企画するのも手だ。

 仕事面のサポートも、年齢に関係なく必要だ。新入社員なら当たり前のように世話を焼いても、ある程度のキャリアを積んだ人には「言わなくても分かるだろう」と、アドバイスするのを遠慮してしまいがち。だが、それが孤立させてしまうこともある。本人も「仕事ができない人と思われるかも」と懸念したり、以前の職場で頑張ってきたという自負が強かったりして、基本的なことほど聞きにくいもの。

 うまくいかないことがあっても、部署のカラーや業務内容の違いが原因であって、本人の能力の問題ではないと伝えるといい。具体的には「うちの部署の仕事はちょっと分かりにくいですよね」「皆さん、最初は苦労するんですよ」などと声を掛けるだけで気が楽になり、相談しやすくなる。自分よりも年上の人には「私は年下ですが、この部署には長いので何でも聞いてください」と言うと、相手も聞きやすくなる。仕事が順調に進んだら、「こんなに早く慣れる人はなかなかいませんよ」などと声を掛けると、本人のモチベーションはぐっと高まるという。

 やってはいけないのは「うちのやり方はこうだから、こうしてください」や「前の職場ではこんなこともやらなかったんですか」などの発言。新しい同僚のプライドを傷つけ、仕事の意欲まで奪いかねない。

 このほか「職場では革靴からサンダルに履き替える人が多い」「たばこを吸いたい人はみんなあそこに集まっている」など、ちょっとした息抜きに関する情報も、本人からは聞きづらいので、積極的に伝えてあげよう。「のどが渇いたら、あそこに自販機がありますよ」と一声掛けるだけでも、飲み物を買いに行きやすくなる。

 「いちいち教えなくてもそのうち分かる」と思うかもしれない。だが、「若い世代や転職組は、早い段階で『この職場は自分に合わない』と見切りを付ける傾向が強く、簡単に離職してしまいかねない」と青嶋さんは説く。

 自分の仕事に追われながら、右も左も分からない同僚をサポートするのは大変だが、その人が仕事を覚えてくれれば、職場を引っ張っていく人材になるかもしれない。「人間、不安を感じているときに助けてくれた人のことは必ず覚えている。将来、きっと味方になってくれるはずです」

 

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