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【暮らし】

<食卓ものがたり>じっくり待って上質な甘さ 樹熟デコポン(愛知県蒲郡市)

ハウス内で栽培した樹熟デコポンを収穫する内田安彦さん=愛知県蒲郡市で

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 名古屋市中央卸売市場に取材で通っていたころ、青果担当者が「ミカンの中で、とろける甘さ」と太鼓判を押していたのが、樹熟(きじゅく)デコポン。名前の通り、一般的なデコポンよりもじっくり木で熟すのが秘訣(ひけつ)らしい。しかも、店頭に並ぶのは四月から五月上旬まで。これは見逃せないと、産地の愛知県蒲郡市を訪ねた。

 樹熟デコポンはJA蒲郡市が、二〇一〇年から売り出している高級ミカン。収穫を迎え、蒲郡柑橘(かんきつ)組合長の内田安彦さん(60)のハウス内もあちこちにデコポンがなっていた。

 「これ全部、樹熟?」。内田さんに尋ねると、「いやいや、よくて半分ぐらい」。「樹熟」として出荷されるのは見栄えがいいものだけだそう。内田さんはつるっとした表面に、でこの部分がきれいに突き出たものをよりすぐっていた。

 条件はそれだけではない。二月時点で平均糖度が一三度以上なければならない。この数値自体はデコポンの標準値。しかし、一月末〜二月頭に収穫する一般的なデコポンと違い、さらに二カ月かけて熟すため、甘さがより増すという。

 デコポンは露地栽培が基本だが、樹熟はハウス育ちなのも大きな違い。蒲郡市でも長らく、ハウス栽培といえば温州ミカンだった。しかし、〇八年のリーマン・ショック前の重油高で、燃料費が高騰。内田さんらミカン農家が代替作物を模索した結果が、デコポンだった。

 室内温度を上げなくても済むため温州ミカンに比べ燃料費がかからず、ハウス内なら冷害や獣害から果実を守れるから完熟になるまで育てられる。まさに一石二鳥だった。人気ぶりを受け、数軒から始まった生産農家は本年度、六十五軒まで増えた。

 蒲郡市は有数のミカン産地だが、デコポンでは熊本や愛媛に後れを取っている。「うちは後発だから差別化していかんとね」。蒲郡発の高級ミカンは、エコな発想が生んだ優れものでもあった。

  文・写真 添田隆典

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◆買う

 樹熟デコポンのサイズは2L(直径約80ミリ)〜5L(同約100ミリ)。首都圏や東海地方の百貨店やスーパー、通販サイトで販売され、目安価格は1玉600〜1000円。品質によってさらに高いものもあるという。皮が柔らかいため、手でむきやすく、内袋もそのまま食べられるのも特徴。葉が付いているのは出荷直前まで木になっていたという鮮度の証しでもある。ハウス栽培で完熟させたデコポンは、ほかに和歌山県などでも栽培されている。(問)JA蒲郡市の通販専用ダイヤル=フリーダイヤル(0120)483030

 

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