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【暮らし】

新中1 第一志望校でなくても 子の努力認めサポートを

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 今春、受験をへて新たな門出を迎えた子の中には、入学式が終わっても、受験によるストレスを抱えたままという子もいるかもしれない。特に、中学受験は初めての受験となる子がほとんどの上、友達の中で受験するのが少数派だと、つらさを周囲と共有しづらい。年齢的にも親のサポートが重要だ。気分を一新し、実り多い中学校生活を送るための支え方や心構えを探った。 (花井康子)

 愛知県内の女子生徒(12)は、小学四年生から難関中学を目指してきたが今春、第一志望ではなく、別の学校に入学した。第一志望校は「自由な校風が合っている」と父親(44)が勧めた。文化祭などに連れて行き、やる気にさせた。それから女子は週に数日、夜九時ごろまで塾で勉強する日々。生活は激変したが、成績は上がり、順風満帆に思えた。

 ところが、六年生の六月ごろ、「塾がつらい」と言い始めた。父親は「合格したら気持ちがいいよ」などと話したが、「宿題しようとすると手が止まる感じ」に。朝、起きられず、学校を休むことも多くなった。

 「心身に不調をきたしてまで頑張らせてはいけなかった。難関校へのこだわりがプレッシャーになったのでは」と父親は振り返る。別の学校に合格したが、今も体調がすぐれない日がある。父親は「少しずつでも入学した中学での生活を楽しんでくれたら」と願う。

 名古屋市内の中一男子生徒(12)も、第一志望にした父親(44)の母校でもある私立には合格できなかった。落ち込んで、しばらくは部屋にこもった。父親は「『第一志望はいい学校』『お父さんは模試で一番だった』と言ったこともあった。発破を掛けたつもりが、それがよくなかった」と悔やむ。しかし、周囲が「よく頑張った」と声を掛けるうちに少しずつ立ち直り、前向きになっているという。

 進学塾の日能研東海(名古屋市)は、子どもが第一志望でなくても納得して進めるよう、受験前から併願校の魅力も伝えている。受験に失敗したら、原因を分析し、子どもが自分の強みを把握して次のステップで生かせるよう努めている。学習推進部長の宮沢悦子さん(56)は「合否の結果だけでなく、受験を成長する機会ととらえてほしい」と話す。

 志望校に合格しても、受験で燃え尽きて、中学校でつまずく例もある。河合塾中部本部(名古屋市)の中部教務部長の鈴木克弥さん(46)は「合否にかかわらず、気持ちの切り替えが必要。頑張りをたたえ、親子で一緒に入学した学校の良さに目を向けてほしい。第一志望を断念すると『次こそは』と追い立てる親もいるが、それでは子どもに劣等感を持たせ続けることになる」と指摘する。

◆「受験うつ」サイン見逃さず

 親は、どんな点に気を付けたらよいだろうか。「受験うつ」(光文社新書)の著書がある本郷赤門前クリニック(東京都文京区)院長の吉田たかよしさん(53)に聞いた。

 幼少期から「トップレベルの学校」を意識させられている子どもは「どうせ自分はダメ」と思うか、勉強していないのに「合格できる」と思い込むかに分かれることが多いという。吉田さんは「どちらも、ありのままを受け止める力が欠如している」と話す。現実の自分を見つめない癖がつくと幻想に逃げやすくなり、「合格できない」という現実を直視したときに、うつ症状が出やすい。

 受験前はメンタルが不安定になりやすい。兆候を見逃さないことも重要だ=チェックリスト参照。

 親は、エリート意識や虚栄心を捨て、受験は人生を豊かにすると捉え、子どもの挑戦と努力を認めたい。「不合格だったとしても、親が結果を心から受け入れると、子どもは元気になれる」と呼び掛ける。

 

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