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【暮らし】

肺炎球菌ワクチン 65歳以上は接種を

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 国が六十五歳以上の人を対象に三年余り前に始めた肺炎球菌ワクチンの定期接種の経過措置が、二〇一九年三月で終了する。六十五歳以上の人すべてに公費助成の対象となる機会が与えられたことになり、先進国の中では低かった接種率は、トップレベルまで引き上げられる見込みだ。しかし、まだ三割以上の人が接種をしていないとみられ、専門家は受けていない人に接種を勧めるとともに、免疫を維持するために五年ごとの再接種も呼び掛けている。 (稲田雅文)

 「一般の人は冬のインフルエンザを怖いと思っているが、実はインフルエンザにかかった後、肺炎球菌などによって引き起こされる細菌性肺炎が死因になっている」と話すのは、順天堂大医学部総合診療科主任教授の内藤俊夫さん(48)。

 インフルエンザにかかると、肺や気道の粘膜がダメージを受けるため、空気中や口の中にある細菌が感染して肺炎になりやすくなる。肺炎の原因菌のうち最も多いのが肺炎球菌で、他の病原体による肺炎よりも重症化しやすい。インフルエンザにかかった人以外にも、高齢で体力が衰えた人や、糖尿病や肺や心臓に持病がある人も、肺炎になるリスクが高くなる。

 国内では、高齢化が進むとともに、肺炎による死亡率が増加している。一一年にがん、心疾患に次ぐ死因の三位となった。肺炎による死亡の97%を六十五歳以上が占める。

 肺炎の予防には手洗いや口の中を清潔にするなどの感染予防や禁煙、持病の治療などが挙げられるが、有効なのがワクチン接種だ。

 厚生労働省は、毎年六十五歳の人全員がワクチン接種をし、効果が五年持続するとした場合、年間五千百十五億円の医療費削減につながると推計した。「予防接種を受けた人は、肺炎になったとしても重症化が防げるといった理由で、受けなかった人よりも医療費が三分の一で済むという調査もある」と内藤さん。

 国は六十五歳となった人を対象に、肺炎球菌ワクチンの定期接種を実施している。開始した一四年十月時点で六十六歳以上だった人にも接種の機会を与えるため、毎年、七十、七十五、八十−と五歳刻みで百歳までの年齢を迎える人も対象に含めた。経過措置は一八年度で終了する。

 国の負担に加え、独自に助成を上乗せしたり、定期接種の対象者以外でも助成をする自治体があるため、市町村によって費用が異なる。全額自己負担の場合、数千〜一万円程度で受けられる。

 メーカーの出荷数に基づく推定では、定期接種の実施前に約20%だった接種率は、一八年三月末時点で約65%まで高まり、英国(約70%)、米国(約64%)に肩を並べた。

 ワクチンの効果は約五年で弱まるため、再接種も考えたい。インフルエンザワクチンとの併用が推奨されているが、接種法は異なる。毎年十月から接種するインフルエンザに対し、肺炎球菌ワクチンは五年以上、間隔を空ける必要がある。とはいえ、内藤さんは「五年以内でも、腫れなどの副反応が強く出ることがあるだけ。いつ打ったか忘れた場合は接種してもかまいません」。

 経過措置が終了した後は、新たに六十五歳になった人だけが定期接種の対象となるが、厚労省は、経過措置後も対象年齢を広げるかどうかなどについて、審議会の小委員会で話し合いを始める。

 

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