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【暮らし】

介護も想定 早め着手を つい先延ばし生前・老前整理

住人が認知症となり、ごみに埋もれたマンションの一室。こうなる前に手を打ちたい=あんしんネット提供

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 生前整理、老前整理、断捨離−。高齢になるにつれ、やろうと思ってもなかなかできないのが身の回りの物の整理だ。ただ、先延ばししすぎると、体力低下や認知症などによって「ごみ屋敷」になりかねない。けがの危険性が増す上、在宅介護を受けるのも難しくなる。大型連休が間近。子世代も帰省の機会に、親の家の整理について考えたい。 (白鳥龍也)

 東京都品川区の主婦(59)は、大阪府に住む両親が八十歳を超えた数年前から、実家の荷物整理が気になりだした。親は物が捨てられない性格の上、エレベーターがないマンションの四階に暮らす。元気なうちにと、帰省のたびに不用品を選別しようとしたが、母親から「要る物ばかりだから、触らんといて」と言われ、親子げんかに。今では「親が亡くなったら業者に頼んで処分してもらうしかない」とあきらめている。

 ところが−。「3LDKの家の家財撤去費用は数十万円です」。あんしんネットの名で遺品整理を手掛ける「アールキューブ」(東京都)の整理コーディネーターで、テレビ出演やドラマ監修もこなす石見良教(いしみよしのり)さん(56)=写真=は、こう話す。一人暮らしの人の平均的な遺品の分量は、住まいがマンションやアパートの場合で約三トン、一戸建て住宅では約五トン。業者に頼まず、親族が毎日三十キロずつ片付けても、三カ月から半年近くかかる。

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 これがごみ屋敷化してしまうと、多い場合は三十トンにもなり、撤去費用は二百五十万円に上ることもある。近年は認知症の増加に伴い、介護・福祉関係者からの依頼で高齢者宅のごみ撤去が増えている。同社ではこうした「福祉・住環境整理」が全体の六〜七割を占めるという。

 荷物が多いほど処理コストがかさむ。これが、生前整理が重要な理由だ。

 石見さんは、健康な人が整理できない理由を(1)「忙しい」との現実逃避型(2)「もったいない」「思い出の品だから」との執着型(3)「いつか使うかも」との将来不安型−に分類。整理するには、苦手意識や執着心を捨てる「気持ちの整理」から始め、▽今使っているか、どうしても残したい思い出の物→そのまま▽全く使っていない物→廃棄か譲渡▽いるかいらないか十秒迷った物→第三者に相談して片付ける−を提案する。

 石見さんは「家の整理状況は玄関(特に傘立て)、冷蔵庫、トイレを見れば分かる」という。まずはそうした狭い範囲から始めて、一カ月続けると習慣がつき、寝室、リビングなどもうまくいくようになる。

 なかなか腰を上げない親に対して、子はどうしたらよいか。冷蔵庫の古い食材のチェックから始める。最低限、介護ベッドからトイレや風呂までの通路上の邪魔な物、危険な物を取り除く。あとは親と相談しながらだが、「もう要らないでしょ」「捨てるよ」「早くやってよ」といったせかす言葉は禁句。石見さんは「必要なら第三者を入れ、親の言い分も聞きながら粘り強く説得して進めてほしい」とアドバイスする。

◆関心は高いが実行はわずか

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 インターネット市場調査会社のマクロミル(東京都)が二〇一六年、六十〜七十歳代の男女千人に行ったアンケートでは「終活」を既に行っているか、行おうと思っている人はおよそ四人に三人。中でも生前整理への関心は高かった。しかし、「既に行っている」は、そのうちの一割余にとどまり「これから」が大多数だった=グラフ。

 

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