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【暮らし】

子育てVRで体験 仕事、世話 息つく暇もなく

立ち上がったり、食べこぼしたりする子の面倒をみながらの夕食の場面=リクルートホールディングス提供(映像を加工したため、一部ゆがみがある)

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 仕事と子育てを両立するには、上司の理解が欠かせない。だが、この大変さ、分かってくれているんだろうか…。こうした子育て世代の悩みに応えるべく、リクルートホールディングス(東京都)は昨年、グループ内の管理職向けに「ワーキングマザー/ファーザーVR」を開発し、研修で活用している。フルタイムで働き、3人の子どもを育てる母親の一日をバーチャルリアリティー(仮想現実)で体験できる。4歳男児の父親である記者が体験会に参加してみた。 (石井知明)

 主人公は、保育園児二人と小学生一人がいる同社社員の女性。専用ゴーグルを着けると、記者は透明人間のように女性のそばにいて、次々と起こる出来事を見守る形になる。

 午後三時半のオフィス。女性は、同五時開始の会議の資料をまとめて、上司にメールで送ると、心の中でつぶやいた。「五時から会議って、その時点で延長保育になっちゃうんだよなあ…」。ここで携帯が鳴る。保育園からだ。

 「○○ちゃん、熱が出てしまって。お迎えに来ていただけますか」

専用ゴーグルを装着し、ワンオペ育児を体験する記者

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 上司への引き継ぎをテキパキと済ませて退社する。子どもを迎えに行くと、幸い、熱はそれほどでもない。そのまま買い物して、帰宅して夕飯を作る。子どもに食べさせた後も学校の配布物チェック、宿題のケアと、やることだらけ。そこに上司から電話。「明日までに資料を修正して」

 三人を寝かしつけたら、うとうとしていた。もう午後十一時。暗い部屋で体を起こし、ノートパソコンの電源を入れる。明日までに資料を修正しなきゃ…。

 翌朝。三人に朝ご飯を作って食べさせ、保育園へ送り届ける。さあ出勤だ−。

 ◇ 

 再生時間は約十分と短い。しかし、実在の同社社員女性とその子どもたちが出演し、実際の親子を撮影したためリアルだった。三六〇度を見渡せる映像の臨場感も想像以上だ。

 ストーリーは子育て中の女性社員に、上司に知ってほしいことを尋ねて構成した。主人公をほぼ一人で家のことをこなす「ワンオペ育児」の母親としたが、担当者は「家族の協力を得られない可能性もある中、どういった点を工夫すれば社員が力を発揮できるのか、(上司に)考えてもらいたかったから」と話す。ちなみに、夜、上司から急に電話で書類の修正を指示される場面は演出。同社では夜間の業務には、事前申請が必要という。

 このVRは、昨年十一月からグループ内の管理職向け研修に導入されており、約二百五十人が体験した。「ワーキングマザー・ファーザー特有の事情への理解度が深まった」「他の管理職にも勧めたい」という感想が目立ったという。

 記者は夫婦共働きで、平日の家事・育児は妻中心だが、土日は記者が一人で子どもの面倒をみることも。思わず「分かる!」と何度もうなずいた。子ども一人でも大変なのに、女性は三人の母親。それぞれがバラバラに動くので、体験中の記者も絶えず辺りを見回し、どこにいるか確認を迫られた。聞きわけのよい子どもたちだったが、親は息つく暇もない。

 大変さを痛感した上で思うのは、管理職は理解で終わらず、具体的な支援策に踏み込んでほしいということだ。例えば「家に仕事を持ち帰らせない」「社員の急な休みに対応できるよう職場の態勢を見直す」などだ。記者も、仕事が立て込むと帰りが遅くなり、夕方からの大変な時間を妻に任せてしまう。まずは早く帰れるよう仕事の段取りを見直したい。

 

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