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【暮らし】

介護家族に息抜きエステ 愛知・春日井 NPOと企業が無料提供

エステサロンカーの前に看板を置く岩月万季代さん(左)ら=愛知県春日井市で

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 家族を介護する人は、休息や趣味の時間を持ったり、自分だけ身だしなみを整えたりすることに後ろめたさを感じがち。そこで、介護者を支援するNPO法人と全国でエステサロンを展開する企業が協力し、女性介護者に顔の美容マッサージなどを無料で提供する取り組みが愛知県春日井市で始まった。要介護の家族だけでなく、自分自身もケアする意識を高めてもらおうという狙いだ。(出口有紀)

 この取り組みは、春日井市のNPO法人「てとりん」と名古屋市中区のエステサロン運営「セピア・クワーティー・インターナショナル」が協力して、四月下旬にスタート。毎月第四金曜日に、NPOが運営する春日井市のカフェ「てとりんハウス」の駐車場で、事前に申し込んだ五人にマッサージや毛穴の汚れ落としなどをする。同社スタッフが出張サービス用ワゴン車で訪れ、三十分四千円ほどのサービスを提供している。

 初回に体験した近くに住む女性(69)は「エステなんて数年ぶり。口元のたるみや肌のかさつきが気になるけど、忙しくて十分にケアできない」。糖尿病などを患う夫(74)の食事療法で、普段は手いっぱいという。

 美容や買い物などの会話をスタッフの落合香菜さん(35)と楽しみながら施術を受け、「家で美容のことを話す相手がいないから、うれしかった。すっきりして今日一日、気分よく過ごせそう」と、つやが良くなった頬をほころばせた。落合さんは「自分も初心に帰れた。周りの人にしないような話をしてくれる人もいるので、リラックスできる雰囲気づくりやコミュニケーションを大事にしたい」と話す。

 NPOの代表理事、岩月万季代(まきよ)さん(50)は「家族をケアする人は、自分のことが後回しになる。エステを受け『私も大事にされていい存在なんだ』と感じてもらえれば」と目的を説明する。

 てとりんは、カフェで家族から介護にまつわる相談を受けるなど、介護者の支援に力を入れている。その取り組みをセピア社会長の佐野敬志さん(53)が聞いて共感し「介護でエステどころじゃない人でも、自分の楽しみを持つきっかけにしてもらえたら」と、協力を申し出た。

 要介護の高齢者を対象とした美容サービスは、介護施設の取り組みとして広まってきたが、佐野さんは「介護者向けはあまり聞かない。一番疲れている人に少しでも息抜きしてもらえたら」と話す。

 介護者支援に取り組む全国の約二十団体が加盟する「全国介護者支援団体連合会」の牧野史子代表(63)は「介護者がまず考えるのは要介護者のことで、自分自身をケアする必要性に気付きにくい。介護や自分のことを話せる場所があってこそ、エステを受けた後の罪悪感も受け入れられる。同じことをやれるところはあまりないかもしれないが、理想的な取り組み」と評価する。

     ◇

 てとりんハウスでの無料エステは次回、二十五日に開催される。予約が必要。問い合わせは、てとりんハウス=電0568(41)8844=へ。

 

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