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【暮らし】

精子の状態 簡単に検査 スマホやキットを使用

スマホのカメラにルーペを取り付け、精子の状態をチェックするキット(TENGAヘルスケア提供)

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 スマートフォンや検査キットを使って精子や精液の状態を調べ、男性の不妊治療に生かす試みに注目が集まっている。晩婚化などの影響で不妊に悩む夫婦が増加。6組に1組が不妊とされるが、原因の半数近くは男性側にある。婦人科など医療機関への受診をためらう男性は多いが、自分で気軽にチェックできるようになり、「早期治療に結び付けられる」と期待が高まっている。(花井康子、寺本康弘)

 スマホを使い、手元で精子の状態を観察できるキット「メンズルーペ」(税別千五百円)は、男性の不妊に詳しい独協医科大埼玉医療センター(埼玉県越谷市)泌尿器科の医師小堀善友さん(43)と、性に関する健康グッズを販売するTENGAヘルスケア(東京都港区)が共同開発し、インターネットなどで販売している。

 使い方は、精液を専用のカップに採取し、しばらく置いてさらさらの液状になったらプレートに薄く垂らす▽スマホのレンズ部分にルーペとプレートをセットし、スマホのカメラを起動させて動画撮影する▽レンズを通して五百五十倍に拡大し、精子の状態を観察できる−という仕組み。スマホに専用アプリをダウンロードすると、精液のサンプルが六段階に分かれて表示され、自分の精子の数や運動率のレベルをサンプルと見比べたり、動画を記録したりして状態を把握することができる。

 埼玉県内の会社員男性(38)は、一年ほど前に「メンズルーペ」を知った。七年前に結婚したが、自然には子どもを授からなかった。「原因は自分では」と感じていたが妻には言いだせず、治療にも踏み切れなかった。一方で「原因をはっきりさせたい」とも思っていた。

 キットで調べたところ、精子の量が少なく、運動率も悪いことが一目瞭然に分かった。原因が自分にあると知り、不妊治療専門クリニックに駆け込んだ。「事前に調べたことで腹が決まり、前向きになれた。治療中もキットで頻繁にチェックし、自分で精子の状態を分かっていたので治療に取り組みやすかった」と振り返る。不妊治療はうまくいき今夏、第一子が生まれる予定だ。

 不妊症の診断や治療は、男性でも婦人科での受診が一般的なことから「クリニックに行きづらい」という理由で受診をためらう男性は多い。三十五歳を過ぎると精子は老化するが、射精できれば妊娠させられるという誤った知識をもつ人もいる。

 小堀さんは「不妊治療はスピード勝負。年齢を重ねるほど妊娠しづらくなる」と指摘。開発を担当したTENGAヘルスケアの佐藤雅信さん(35)は「男性が自分の精子の状態を気軽に調べることが、早期治療への第一歩となれば」と話している。

◆生活習慣との関係に注目 精液の成分研究

 男性の不妊治療では、精子だけでなく、精液にも注目が集まっている。精液には精子自体の運動や持久力などを高める成分が含まれる。妊娠の可能性を高めるため、精液と生活習慣の関係を解明する動きが出ている。

 精液成分の研究に取り組むベンチャー企業の「ダンテ」(東京都港区)の調査によると、精子数が多い人は精液中の亜鉛濃度が高い傾向にある。一方、亜鉛濃度の高い人の食生活をみると、魚より肉を中心にしている人の方が多かった。また睡眠時間の短い人の精液は長い人に比べ、精子の動きを鈍くさせる恐れのある酸化ストレスの影響をより大きく受けていた。

 同社は新たな取り組みとして、自宅で採取した精液を郵送できるキットを七月に発売。精液成分を検査するとともに、睡眠時間や飲酒、喫煙の有無など生活習慣に関するアンケートも行い、精液の成分と生活習慣の関係についてもさらに詳しく調べる。

 同社最高経営責任者(CEO)の滝本陽介さんは「精液についてはまだ分からないことが多いが、生活習慣との関係が解明されれば、男性がより妊活に取り組みやすくなる」と話す。

 

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