東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 暮らし > 暮らし一覧 > 5月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【暮らし】

企業型DC 転退職時の「放置」増加 運用されぬまま手数料

写真

 老後のため、約六百五十万人の会社員が公的年金の上乗せ部分として加入している企業型の確定拠出年金(DC)。転職・退職から六カ月以内に必要な手続きをせず、「放置」されている年金資産が増えている。資産は運用されない上に、手数料などで目減りしている。放置している人は七十万人以上。手続きが必要な人には既に通知が届いているはずなので確認したい。 (砂本紅年)

 「今後、どのように手続きをすればいいのか」−。毎年通知が届く五月以降、専用コールセンターには問い合わせが殺到する。

 手続きに関する会社の説明が十分でなかった場合もあるが、中には「面倒」「運用するほどの資産額ではない」などの理由で手続きしない人も。放置された資産の総額は二〇一六年三月末時点で千五百億円近くに達した。

 企業型DCのメリットの一つは、転退職しても次の企業型DCや個人型DC(愛称・イデコ)に、積み立てた年金資産を移せることだ。手続きはケースによって異なる=チャート図参照。イデコで運用を続けるなら、金融機関を選び、必要書類を提出して手数料や掛け金を払うなどの手続きが必要だ。

 ただ手続きせず六カ月以上たつと、イデコを運営する国民年金基金連合会の専用口座に「仮預かり」として資産が移される。この状態にある人は「自動移換者」と呼ばれる。

 移換されると、連合会や記録を管理する機関に計四千二百六十九円の手数料を支払う。四カ月目からは、管理手数料としてさらに月五十一円が引かれることに。連合会の確定拠出年金部長、大鶴知之さんは「資産は運用されないだけでなく、目減りするだけ。運用環境がよくなると、その分デメリットは大きくなる」と話す。長年の放置で資産がゼロになってしまう人もいる。

 手続き忘れに気付いてイデコに加入しても、イデコの手数料に加え、連合会の預かり口座から自分の口座に資金を移すための手数料千八十円が余分にかかることにも注意が必要だ。

◆通知来たら忘れず手続きを

 連合会は毎年五月、自動移換者に手続きを求める案内を通知している。今年は約七十三万人のうち、四割程度を占める資産ゼロの人や住所不明者を除く約三十三万人に送付した。

 増加する自動移換者対策として、六カ月たっても手続きがなかった人に企業型DCやイデコの口座がある場合、本人の申請がなくても自動的にDC口座に資産を移せるよう今年五月、改正法が施行された。五月以降に転職や退職した人に適用する。

 ただ、イデコ口座に資産を移したものの、新たに掛け金を納めず、これまでの資産を運用するだけの「運用指図者」と呼ばれる人も五十三万人いる。掛け金が所得控除されるイデコの税制メリットを生かし切れていない点で、もったいない。

 DC以外の企業年金がある会社に転職した場合、かつてはイデコを継続できても、新たに掛け金は納められなかった。ただ昨年一月からは掛け金を払うことができるようになり、老後資金づくりに向け制度を上手に利用したい。

 問い合わせは、自動移換者専用コールセンター=電03(5958)3736(平日午前九時〜午後六時、六月から五時半まで)=へ。

<企業型確定拠出年金> 企業年金制度の一つ。掛け金は基本的に企業が負担。あらかじめ決められた複数の運用商品の中から従業員が決め、運用実績に応じて受取金額は変わってくる。受け取りは原則60歳以降。同じ企業年金制度のうち確定給付企業年金や厚生年金基金では、従業員が受け取る給付額は運用利回りにかかわらず確定している。

<イデコ(個人型確定拠出年金)> 公的年金に上乗せして受給できる私的年金。昨年1月から主婦(夫)や公務員、企業年金のある会社員らも加入できるようになった。自分で選んだ金融機関に掛け金を毎月支払って運用する。掛け金が所得控除の対象になるほか、運用益も非課税。受給時にも税制で優遇される。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】