東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 暮らし > 暮らし一覧 > 6月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【暮らし】

糖尿病と歯周病に深い関係 炎症で免疫力低下 一緒に治療し相乗効果

写真

 糖尿病と歯周病が、相互に深く関わっていることが分かってきた。糖尿病だと歯周病になりやすく、歯周病だと糖尿病が悪化しやすい。そうした悪循環が、いずれの治療をも難しくする。専門家は一緒に治療に取り組めば、より効果が見込めるとして内科と歯科の連携の必要性を指摘し、患者にも早期から歯科に通うよう勧めている。 (由藤庸二郎)

 「歯科の現場では、歯周病治療を続けても、なかなか治らない糖尿病患者がいます」と、歯科医師で日本歯科医師会常務理事の高野直久さん。歯茎の出血や腫れや歯のぐらつき、強い口臭などの症状が目立つという。

 日本大とライオン歯科衛生研究所が二〇〇九年に発表した約二千五百人が対象の研究結果によると、空腹時血糖値や過去一〜二カ月の平均血糖値を反映する「HbA1c」という数値が基準を超えると歯周病が増加し、糖尿病と歯周病が関連していることが示されている。

 糖尿病は歯周病をどのように悪化させるのか。高野さんによると、糖尿病では微小な血管が傷んで歯茎の血流が滞るため、歯周組織が壊れると治りにくい。さらに糖尿病では免疫力が低下し、脱水のため唾液も減って歯周病の原因細菌の感染が広がりやすいという。

 では、歯周病が糖尿病を悪化させるとはどういうことか。にしだわたる糖尿病内科(松山市)の院長、西田亙さんは「歯周病の慢性的な炎症が悪さをしている」と指摘する。

 近年の研究で、体に炎症があると放出される生理活性物質(炎症促進性サイトカイン)によって、血糖値を抑えるホルモン「インスリン」の働きが悪くなることが分かってきた。この物質は、メタボリック症候群になっても、脂肪をためこんだ細胞の炎症によって放出されるという。

 歯周病は、全身感染症などと比べて炎症としては軽微だが、慢性化すると長い間じわじわとサイトカインが放出され、糖尿病にも悪影響があると西田さんは考えている。

 歯周病は、間接的にも糖尿病治療の妨げだ。糖尿病の栄養指導では「野菜を多めに、よくかんでゆっくり食べて」と指導するが「歯が悪いと、軟らかく、味の濃いものをよくかまずに食べるようになる」と西田さん。

 歯周病の治療により糖尿病は改善するのか。

 広島県歯科医師会と広島大が一三年に発表した、歯周病のある糖尿病患者を対象にした研究では、歯周病の炎症が強いほど、治療した場合にHbA1cが改善しやすいことが明らかになった。きちんと歯を治すことは、糖尿病治療にも良い効果を生む可能性が高い。

 高野さんと西田さんは、歯科医と内科医が互いの病気の関係を理解する必要性を訴える。

 「糖尿病と診断した内科医は、目や足など糖尿病の合併症に目を向けるのと同様に、歯周病にも着目してほしい。紹介を受けた歯科医も『歯周病を治さないと糖尿病も治りにくいよ』と伝えないと」と高野さん。

 西田さんも、自身が診た患者で歯科治療後に糖尿病が改善した経験から「糖尿病の診断をしたら、まず歯の状態や食事の内容、食べ方について聞くようになった」という。「歯科医で糖尿病患者を見つけてもらうこともできる」として、講演などでは歯科医に向けて特に舌の状態を確かめるように促す。「血糖値を測るのは難しくても、口の中を一番よく診ているのは歯科医。血糖値が上がると脱水によって舌が乾き、粘つくのがサインです。気付いたら内科に紹介を」と話している。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】