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【暮らし】

<始まる民泊>新法施行「ヤミ営業」排除へ 規制厳しく登録低調

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 住宅に有料で旅行客を泊める「民泊」の届け出が伸び悩んでいる。十五日の「住宅宿泊事業法」(民泊新法)の施行まで十日を切ったが、届け出を自治体に受理され登録を済ませたのは、需要が見込める京都市でわずかに三件。東京都心ではゼロ件の自治体もある。民泊の約八割とされる違法な「ヤミ民泊」排除のため規制を強化した半面、「ハードルが高い」と足踏みする人が相次いでいるのが背景にある。(添田隆典)

 大阪市東住吉区に住む派遣社員の女性(40)は昨年四月から、自らが暮らす母親の実家で民泊を営んできた。しかし、新法施行以降の営業は断念した。「できれば続けたかったが、制約が多すぎる」と話す。

 新法では、旅行客の滞在中、同居する家主は原則一時間以上、自宅を不在にできない。しかし、女性は平日の日中は仕事があり、掛け持ちでの営業は事実上不可能。市が条例で、近隣住民への事前説明を義務付けたことも、民泊に対する世間の拒否反応を考えると、理解は得にくいと感じた。

 女性が営んでいたのは、ヤミ民泊だった。新法施行まで、旅館業法の許可がいるが、旅館並みの防火設備を備える必要があるなどハードルが高く、申請はしてこなかった。

 ただ、トラブルはなかったという。チェックインは在宅している夕方以降に限定し、防犯面を考慮して宿泊は女性かカップルに限っていた。「騒音やごみの問題にしても、宿泊客は一緒に住んでいる私を気遣うため起こりえなかった」。一泊二千〜三千円。予約サイトを通じて毎月一〜二組が宿泊に訪れたという。

 民泊はホームステイのような「家主同居型」と、マンションなどの一室を丸ごと貸し出す「家主不在型」に大別されるが、「近所とトラブルになるのは、家主の目が届かない不在型」と考えていた。

 しかし、新法では同居型、不在型にかかわらず、等しく規制が課せられる。自治体への届け出がないため、二日に予約サイトからも削除されたため、民泊から撤退することを選んだ。

 ただ、家主が同居していれば、トラブルは十分避けられるという実感はある。「一律に厳しく規制すれば、純粋に外国人をもてなしたいと思っている人の門戸も閉ざしてしまう」。今も納得はしていない。

◆自治体が条例上乗せ 煩雑な手続きが壁に

 観光庁によると、民泊の届け出が始まった三月十五日以降、全国の自治体に七百二十四件が届け出されたが、実際に受理されて登録されたのは百五十二件(五月十一日時点)。大手予約サイトには二月時点で約六万二千件が登録されており、新法で運営しようという物件は1%にも満たない。

 新法では旅館やホテルとのすみ分けを図るため、営業日数の上限を年間百八十日とするなど一定の規制を設けた。ただ、それ以上に厳しいのが、自治体が条例で定めた上乗せ規制=表。観光庁によると、六月一日時点で都道府県や政令市など民泊事務を担う百五十自治体のうち、四十八自治体が住居専用地域や文教地区での営業日数を制限し、近隣住民への事前説明を課す自治体も多い。

 ただ、関心が低いわけではない。京都市では登録はまだ三件だが、申請相談は千八百件に上る。届け出には国や自治体が定める書類を二十種類以上そろえ、消防の検査も受けなければならず、「手続きに手間がかかることも要因だろう」と同市の担当者は話す。

 民泊に詳しい立教大観光学部(埼玉県新座市)の東徹教授は「今後、規制が緩まるかどうかは、民泊の浸透状況にかかっている。そのためには民泊を営む人たちがルールを守って、信用を得ることがまずは求められる」と指摘している。

 

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