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【暮らし】

<年金プア 不安の中で>老後の生活困窮しないために 滞納避け個人でも上積みを

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 平均寿命が延び、「人生百年」とさえ言われる時代。しかし、老後を過ごすための資金は増えることになり、年金受給額が少ない年金プアの間で「生活困窮に陥るのでは」との不安が広がる。困窮しないためにはどうしたらいいのか。対策を専門家に聞いた。(白井康彦)

 「お金に関する知識や知恵。健康や体力の維持。こういったところが重要です」。名古屋市で活動するファイナンシャルプランナー(FP)の長谷川俊英さん(54)がじっくり考えて出した結論だ。年金プアの声を数多く聞いてきた記者も同意できた。

 日本の公的年金制度は、一階が国民年金、二階が厚生年金の二階建てになっており、会社員や公務員などの厚生年金加入者は、国民年金にも自動的に加入。年金保険料は給料から天引きされる。

 年金プアになりやすいのは、二階部分がない国民年金加入者。自営業者や非正規労働者などに多い。国民年金加入者が老後に受給する老齢基礎年金の受給月額は、満額でも約六万五千円にすぎない。

 アパートで一人で暮らしたとしても、家賃などを含めれば月十三万〜十五万円は必要だ。年金だけでは足りず、家族からの援助のほか、仕事をしたり、貯蓄を崩したりしてやりくりするしかない=図。

 「貯蓄が尽きないようにするためには、若い頃からの備えが必要」と長谷川さんは話す。

 まず、国民年金保険料の滞納を極力避けることが重要。年金受給額は滞納の月数に応じて減る仕組みだからだ。年金プアに陥る人の多くは、国民年金の保険料を滞納することから始まる。長谷川さんは「生活が苦しい時期は保険料の免除制度の利用を考えるべきです」とアドバイスする。

 年金額を上積みする制度の利用も検討したい。自営業者ら向けの国民年金基金制度や生命保険会社の個人年金保険などだ。公的年金だけで老後を過ごすことは難しく、今後も減額が予想されるだけに、民間の制度を使った貯蓄を若い頃から始めることが必要だ。

    ◇  ◇

 最近では、老後資金の不足分を賄うため、定年退職した後も働き続ける高齢者は増えている。

 総務省統計局の労働力調査によると、今年四月の六十五歳以上の就業者数は約八百七十四万人。五年前に比べ二百四十四万人も増加した。厚生労働省によると、今年四月の六十五歳以上の有効求人倍率は一・一五倍。高齢者でも比較的職が見つけやすい状況になっていることも、高齢者の就業を後押ししているとみられる。

 特に年金プアの高齢者にとっては、できるだけ長く仕事を続けることは切実だ。記者は年金プアの高齢者の多くから「働けるうちは働く」という言葉を聞いた。仕事をする上で欠かせないのが、健康と体力の維持だ。病気がちになると、仕事ができなくなるだけでなく、医療費負担が増え、家計を圧迫することになりかねない。

 高齢で仕事ができなくなった後は、息子や娘など親族から金銭援助を受ける人も。ただ、親族の生活を圧迫することにもなりかねず、全面的には頼れないケースは多い。

 親族からの支援を受けられず、貯蓄も尽きてしまった場合に利用できるのは生活保護制度。年金プアの高齢者の場合は、毎月のやりくりで不足する部分を生活保護費で穴埋めする形になる。最終手段として生活保護制度を考えておけば、絶望感にさいなまれる状況は避けやすい。

  =年金プアのシリーズは終わります

 

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