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【暮らし】

介護職 人材確保 知恵絞る事業者 幅広い採用枠/充実した研修

全員必須の入社時研修で、講師(手前)から車いすの基本操作を学ぶSOMPOケアグループの職員ら=東京都港区で

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 厚生労働省は五月、団塊の世代が全員七十五歳以上になる二〇二五年度に、介護職員が約三十四万人不足する恐れがあるとの推計を発表した。「低賃金できつい」とのイメージを払いのけ、有能な人材をどう確保していくか。高齢者住宅経営者連絡協議会が五月に東京都内で行ったシンポジウムから、厳しい中でも一定の成果を上げている事業者の取り組みを報告する。(白鳥龍也)

 社会福祉法人伸こう福祉会(本部・横浜市)は、神奈川県を中心に特別養護老人ホームなどの介護施設のほか障害者支援のグループホーム、保育園など五十近い施設を運営し、約千百三十人を雇う。理事長の足立聖子さんは「年齢や国籍、経歴、心身の状況を問わない」と採用方針を説明する。

 定年を八十歳としているが、働いている中には八十一歳の人もいる。年齢構成では六十代以上が四分の一弱を占める。障害者や心身の病がある人も6%ほどいる。高齢者や障害者だけでなく、一九七〇年代の創業当初からベトナム難民、日系ブラジル・ペルー人など在留資格を持つ外国人を積極採用してきた。現在は十四カ国の四十八人を雇う。

 足立さんは「日本人が足りないから外国人に頼むという発想ではなく、日本人と同様に介護人材として育成することが大切」と強調する。

 ただ「採用の間口を広げるだけでは労働力不足は解消しない」とも言う。見守りセンサーなど先端技術の導入で職員の作業能率を向上させ、人手不足の穴を埋めようとしている。

 業界大手だった「ワタミの介護」と「メッセージ」両社の子会社化などで、約二万五千五百の高齢者居室、従業員約二万四千人を抱える巨大事業者となったSOMPOケアグループ(本部・東京)は手厚い人材育成策がウリだ。東京、大阪に企業内大学を開設。実際の高齢者居室や自宅を模した施設内で、全従業員が入社時および経験年数別に実践的研修を受ける仕組みを整えた。職員の技術向上のため、各種講座を離れた場所に配信するほか、資格取得のための社内研修制度なども充実させた。

 グループのSOMPOケア、SOMPOケアネクスト両社社長を務める遠藤健さんは「人材不足対策は採用に加え、定着もカギ。それにはやりがい、働きがいを持てる教育、労務環境を整えること」と指摘する。

 ベネッセグループのベネッセスタイルケア(本社・同)は、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅三百施設余を運営。介護職員約九千二百人を雇う。

 一七年度、人材難の地域の給与を手厚くするなど採用条件を改善。東京都世田谷区の場合、介護福祉士なら残業なしのモデル給与を二十五万円から二十八万五千五百円にアップ。就職相談に対しては、応募者の勤務場所や時間の希望を最優先するよう配慮している。

 新卒採用も強化し、今春には五百五十人を受け入れた。学生が興味を持っても、家族に反対されるケースが多い。そのため介護事業の将来性を強調する家族向け説明会も行った。副社長の国政(くにまさ)貴美子さんは「社側がこう働いてほしいではなく、応募者の希望に応じ業務を組み立てる時代」と話している。

 シンポの討論で司会を務めた千葉商科大人間社会学部の和田義人教授は「(働く側にとって魅力的な介護事業所とは)仕事を通して成長できる場、感性、理念を持っているかどうかに尽きる」と述べた。

 

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