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【暮らし】

定年退職後の手続きは?(下)税金 「面倒だから…」敬遠は損

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 会社勤めの間は会社が所得税や住民税の天引きをしてくれるが、六十歳以降に定年などで退職すると納税について自分で手続きをしなければならなくなる。現役時代に所得税の確定申告を経験していない人は特に戸惑いが大きい。退職後の所得税や住民税の納税のポイントについて考えてみた。(白井康彦)

◆所得税過払いで還付の可能性大

 <確定申告>

 所得税は、収入から経費や各種の所得控除の金額を差し引き、残りの金額に税率を掛けるといった手順で税額を計算する=図。会社勤めの間は、会社がこうした計算をして年末調整で所得税を精算してくれる。このため、確定申告をする会社員の多くは、医療費や寄付金の控除で還付を受けるケースだが、「手続きが面倒」という理由で申告しない人は少なくない。

 名古屋市の税理士、永井里樹さんはかつて大手企業の人事部に所属。退職する社員に税や社会保険の手続きについて説明する業務にも関わっていた。その経験から「退職後、自分で所得税の申告をする人は少ない」と指摘。一方、「申告すれば還付されることがあるので、退職後は申告方法などを勉強するのが賢明です」と話す。

 還付を受けられる可能性が高いのは、退職した年の所得税だ。退職した月までは一年間在籍するとの前提で所得税が天引きされており、退職後に同程度の収入を得ない限り、所得税の払いすぎになるためだ。現役時代は会社が年末調整で過不足を精算していたが、退職後は自ら確定申告で手続きをしないと還付を受けられない。

◆公的老齢年金の受給者が対象に

 <申告不要制度>

 公的な老齢年金の受給者を対象にした確定申告不要制度がある。対象になるための条件は、年金額が年間四百万円以下で、年金以外の所得金額の合計額が年二十万円以下。この制度は「申告する必要がない」という趣旨で、申告が禁止されているわけではない。生命保険料控除や医療費控除の適用で還付が受けられる場合は申告すれば得になる。

◆書類出さないと年金額に影響も

 <扶養控除>

 六十五歳以上で百五十八万円以上の老齢年金があるなど、年金収入が一定額以上ある人は、所得税や住民税が年金から天引きされる。ただ、扶養控除などを受けるには、扶養親族等申告書を日本年金機構に提出する必要がある。

 会社勤めのときは、扶養控除申告書を出さない社員がいると、会社は早く出すよう催促するが、日本年金機構はそのようなことはしないため、提出を忘れる年金受給者は多いという。

 書類は毎年八〜十月に送られてくるが、厚生労働省などによると、日本年金機構が昨年夏に受給者に発送した扶養親族等申告書について、様式変更などが原因で未提出の人が激増。今年二月支給の年金では、所得控除を受けられずに天引き後の年金額が本来の金額より少なかった人が約百三十万人に上った。

 送られた書類は必ずチェックし、様式や記入法などが分からない場合は近くの年金事務所に問い合わせ、必要事項を記入して返送するべきだ。

◆前年所得で算出 退職翌年は高額

 <住民税>

 多くの場合、定年退職した後は収入が激減する。その結果、退職した翌年の六月を迎えたときに、自治体から送られてきた住民税の納税通知書を見て「住民税額がこんなに高いなんて」と驚くことになる。住民税は前年の所得をもとに計算するためだ。税理士の永井さんは「退職した翌年に納める住民税が高いことは覚悟しておくべきでしょう」とアドバイスしている。

 

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