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【暮らし】

難病の子とその家族に迫る 来日の仏監督「社会全体で支援を」

映画「子どもが教えてくれたこと」の公開を前に来日し、作品などについて語る監督のアンヌ=ドフィーヌ・ジュリアンさん

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 難病の子どもたちの生活を追ったフランスのドキュメンタリー映画「子どもが教えてくれたこと」が七月十四日から公開される。時に治療に泣きながらも無邪気さにあふれ、前向きに生きる子どもたちの力強さを伝える。監督したのは、娘二人を病気で亡くしたアンヌ=ドフィーヌ・ジュリアンさん。公開を前に来日して取材に応じ、「社会全体で子どもと家族を支えてほしい」と願いを語った。 (細川暁子)

 ジュリアンさんは、二〇〇七年に長女のタイスちゃん=当時(3つ)=を、昨年には次女のアズィリスさん=当時(10)=をいずれも「異染性白質ジストロフィー」という先天性の難病で亡くした。タイスちゃんは真っすぐ歩けず、二歳の時に検査を受けて病気が分かった。入院を経て最期は自宅で療養していた。アズィリスさんは生後間もなく同じ病気と診断された。

 ドキュメンタリー映画は、一四年に撮影を開始。登場するのは、小児がんや血液の病気などを患う五〜九歳の五人。ジュリアンさんは医療機関の紹介で出会い、「大人は先のことを考えて動揺するけれど、子どもは泣いたり笑ったりその瞬間を自然体で生きている。その姿に力や勇気をもらい、多くの人に伝えたいと思った」と映画製作の動機を話す。本作が初の監督作品で、製作費はインターネットで寄付を呼び掛けるクラウドファンディングで募り、約二カ月で一千万円以上を集めた。

 映画に登場する一人、九歳のアンブルさんは心臓から肺への血管が狭く、血液の流れが悪くなる病気を患う女の子。肺の血管を広げる薬剤を注入するためポンプをリュックに入れて背負い、地元の学校に通っている。「悩みごとは脇に置いておくか、付き合っていくしかないの」。そんな言葉が自然に出る前向きな性格で、演劇で舞台に立つ姿や、家族と一緒に治療方針の説明を受ける場面などをカメラに収めた。

 ジュリアンさんは「病気の子はジロジロ見られるのが嫌で、外に出たがらない子どももいる。偏見をなくし、社会で暮らしやすい環境を整えていくことが大人の責任」と話す。

 来日したジュリアンさんは国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)の中にある短期滞在施設「もみじの家」を見学したという。自宅療養する子どもと家族らが宿泊して休息する施設で、看護師らが常駐している。フランスでは同様の施設がある病院は見たことがないといい「病気の子どもを抱える家族は二十四時間責任を背負っている。重圧から解放されるために、こうした安らぎの場があることはすばらしい」と驚いた。

 ジュリアンさんは、同センターの小児がんセンター長で医師の松本公一さんとも対談。フランスでは、医師や看護師がチームで患者の自宅を訪問する在宅医療の仕組みが整っており、看護師が体にオイルを塗ってマッサージをして痛みを和らげるケアなども盛ん。松本さんは「日本も医療的ケアが必要な子どもの自宅に看護師を派遣するなど、自治体の支援が広がってきたところ。社会全体で病気の子どもと家族を支えていこうという機運が高まっているのは、日本もフランスも同じだ」と話した。

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 「子どもが教えてくれたこと」は、七月十四日から東京「シネスイッチ銀座」、埼玉「MOVIX三郷」などで公開。神奈川、静岡など全国で順次公開予定。

 

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