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【暮らし】

人工関節 タイミング見極めて手術を

人工関節手術を受けた患者のリハビリに当たる理学療法士の戸次有希さん=埼玉県川口市の埼玉協同病院で(同病院提供)

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 膝や股関節の変形性関節症は、とても痛い病気で、関節の動きの悪化、筋肉のこわばりも伴って日常生活全般に支障が出る。人工関節の素材や手術法は急速に進歩したが、手術を受けるタイミングが難しい。専門家は、自分がしたいことをよく見極め、主治医と相談するよう勧める。 (由藤庸二郎)

 国内の約三千人を対象とした研究では、膝の変形性関節症は四十歳以上の男性の43%、女性の62%に見られ、七十歳以上男性では約半数との報告も。日本整形外科学会によると股関節も有病率は人口の1・0〜2・4%で、いずれも高齢化に伴って増える傾向だ。年間の人工関節手術は推計で膝が約八万五千件、股関節が約六万件に達する。

 埼玉協同病院の整形外科部長、仁平高太郎さんは「本来はスケートリンクのように滑らかな関節の軟骨が、傷んだりすり減ったりするのが発端」と話す。

 原因は股関節では生まれつきや子どものときの病気、障害による骨の変形によるものがほとんど。膝では軟骨の老化やO脚などの影響が大きく、負担の大きい運動や仕事、肥満もリスクを高める。いずれも女性の発症の割合が高い。

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 軟骨がすり減ると小さな骨折や骨が硬くなる異常が増え、骨棘(こつきょく)と呼ばれるとげができることも。神経が通る骨同士がこすれ合うととても痛む。初期は動き始め、歩き始めに痛み、一時的に痛みが和らいでも徐々に進行する。周りの筋肉がこわばると筋肉や骨が痩せて日常活動が低下する。

 人工関節手術は変形を元に戻し、痛みを取るのが目標だ。「虫歯を削って金属をかぶせるようなもの」と仁平さんは患者に説明するという。材質の進歩により摩擦が格段に小さくなり、表面加工の精度も上がって人体ともなじむ。耐用年数の長期化も見込まれている。

 近年は、三次元のコンピューター断層撮影(CT)により個々の患者に合う手術方法が精密にデザインできるようになった。膝の靱帯(じんたい)を温存することも可能になってきた。仁平さんは「手術後に思ったより良くなり『反対の脚も』という患者が多い。満足度の高い手術だ」と話す。

 気を付けたいのは手術のタイミングだ。手術後の入院は平均で二週間ほどだが、手術前の変形が大きいと二、三カ月に長引くことも。筋力が十分残っている方が、運動能力の回復も早い。

 ただ、生活にさほどの支障がない段階で手術に踏み切れるだろうか。

 仁平さんは患者に「旅行に誘われて断ることがあるか、洗濯物を持って階段を上れるか…」などと尋ねてみる。生活の中で何が不自由で、何がしたいのか。本人の認識と意欲が大事で、同じ症状でも年齢や仕事、趣味などによって変わってくる。主治医とよく相談してタイミングを逃さないことが大切だという。

 手術後はリハビリテーションが必須だ。同院の理学療法士、戸次有希さんは「筋肉を柔らかく、強くすることがポイントです」と話す。

 手術前に筋力や関節の動く範囲などを見極めておき、手術中に麻酔がかかった状態でどこまで曲がったかも参考に、リハビリの目標を決める。

 

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