東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 暮らし > 暮らし一覧 > 7月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【暮らし】

取り組み進む羽毛再利用 布団・衣料を回収し再生品

リユース&リサイクルステーションに持ち込まれた羽毛布団を回収するすぎなの作業所の利用者男性=名古屋市港区で

写真

 古くなった羽毛布団やダウンジャケットから羽毛を取り出し、再生した羽毛を「グリーンダウン」として再利用する取り組みが広がっている。外側のカバーなどが劣化しても中の羽毛は傷んだり汚れたりしておらず、再利用したジャケットなどの評判も上々だ。世界的に不足しつつある羽毛を有効活用しようという試みだ。 (出口有紀)

 三重県明和町の羽毛素材メーカー「河田フェザー」の工場の一角。羽毛布団がカッターで切られ、羽毛が取り出されていく。染みがついたり、穴が開いてテープでふさがれたりした布団もあるが「外側が汚れていても大丈夫。中身はきれいでしょう?」。取り出した羽毛を手に、同社CSR推進室長黒田健さん(57)は笑う。羽毛は汚れや水分をはじき、汚れにくい。「さらに洗えば新品と比べても遜色がない。羽毛だけなら百年は使える」と胸を張る。

 同社によると、羽毛製品が普及したのは一九八〇年代。今までに布団は総計一億五千万枚ほどが国内で販売されたという。

 羽毛は、アヒルやガチョウの腹部を覆う「ダウン」と羽を覆う「フェザー」を混ぜる。ダウンは一羽から十グラムしかとれない。ダウンジャケット一枚には二百五十グラムほどの羽毛が使われているが、その八〜九割がダウン。「アヒルやガチョウは肉にするのが主目的で、羽毛は副産物。近年、中国を中心に需要が伸びており、次世代に残らなくなるのでは」と危ぶむ。

 同社は、もともとは新品の羽毛を輸入して加工していたが、二〇一一年に地元の社会福祉協議会などと協力し、羽毛の回収を開始。一五年には、衣料や寝具の販売会社などと協力し一般社団法人「グリーンダウンプロジェクト」を設立し、羽毛を再利用する仕組みづくりに取り組んでいる。

 名古屋市の認定NPO法人「中部リサイクル運動市民の会」もプロジェクトに参加している。市内のスーパーなどで定期的に開いている「リユース&リサイクルステーション」などでも、六月から古くなった羽毛製品を回収し始めた。同市港区のパート女性(52)は、亡くなった母の布団を持ち込んだ。「捨てるのも忍びないしお金もかかるので、七年ほど保管していた。再生品でも高品質なら買いたい」

 持ち込まれた製品の選別などは、同市港区の社会福祉法人「すぎな」が運営する障害者作業所が担当。今後、解体施設を整備する予定だ。河田フェザーも、東日本大震災後に内職が不足していた明和町の障害者向け事業所「ありんこ」に回収や解体を委託している。同社で作業する知的障害がある男性(48)は「始めて五年になるが、この仕事が好き。続けられそう」という。

 自社ブランドの商品に、グリーンダウンを採用する衣服チェーンもある。「アーバンリサーチドアーズ」(大阪市)は一五年から、ダウンジャケットに取り入れた。タグを付け、消費者がグリーンダウンの商品と分かるようにして販売している。新品の羽毛を使った商品と同価格で「受け入れられるかどうか心配もあったが、売り上げは伸びている。品質の良さが評価されているよう」と話す。

 全国の全六十七店舗で回収もしており、一六年七月から一年間で、羽毛布団やダウンジャケット計千二百八十七点が持ち込まれた。担当者は「近年、鳥インフルエンザや中国の業者による買い占めなどが影響し、新しい羽毛の価格が安定しないが、グリーンダウンの価格は一定なのも魅力」と話す。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報