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【暮らし】

<清水孝幸の続50代の地域デビュー> (28)清掃ボランティア 「女子力」を再認識

イラスト・佐藤まさーき

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 川岸を清掃しながら歩き、景色も楽しむ「隅田川クリーン大作戦」に参加した。川辺のテラスは近所の散歩道だが、初めてゆっくり長い距離を歩いた。違った風景を体感し、地元を再発見した。

 東京都中央区などで毎年開かれている規模の大きな清掃ボランティア活動。隅田川の中流から下流にかけて四つのルートに分かれ、大勢で一斉にごみを拾う。私は勝鬨(かちどき)橋から浜町公園まで四キロのコースに参加した。

 土曜の朝、今にも雨が降りだしそうな曇天。遠くに見えるスカイツリーも展望台から上は雲の中だ。梅雨寒で、季節外れの薄いダウンジャケットを着て集合場所の勝鬨橋のたもとに行くと、百人を超える人が集まっていた。意外にも大半が若者だ。大学や職場単位の参加者が多く、個人参加は私を含め九人だった。

 最初に主催者から軍手とトング、ごみ袋を渡され、私は燃えるごみを担当。遊歩道や植えこみの中のごみを拾いながら上流へ歩き始めた。

 狭い川辺のテラスを百人以上で清掃する「人海戦術」。ほとんどのごみは拾われ、後ろの方の私の出番は少ない。それでも、たばこの吸い殻をたくさん拾った。近所の公園にもよく落ちている。いまだにポイ捨てが多いようだ。

 「大物」も見つけた。ベンチ裏の植えこみに投げ込まれたレジ袋のごみだ。開けると、中には食べ終わったコンビニ弁当とペットボトル。マナーの悪さに腹が立ったが、その直後、犬の散歩をしていた年配の女性がすれ違いざまに笑顔で「ご苦労さま。ありがとう」。うれしかった。

 初めは一人で黙々とごみを探していたが、「そこはもう見ましたよ」「燃えるごみ、お願いします」と、他の参加者と声を掛け合っているうち、連帯感が出てきた。仲間と一緒に散歩しているような気分になってきた。

 川辺を歩くと、大きな橋をくぐることになる。永代橋と清洲橋の下を初めて通った。手を伸ばせば届きそうなところに橋げたの底がある。不思議な風景が新鮮だった。

 休憩時間、主催者が「ばんそうこうを持っている人はいませんか」。参加者が手にけがをしたらしい。私はいつも財布に入れているので手を挙げると、後ろから「持っている人って女子力、高いわね」と女性の声が聞こえた。オヤジなのに、なぜかどこでも「女子力高い」と言われる。

 ゴールには約一時間四十分で到着。川面を抜ける風が心地よかった。川岸に地元の有志が手入れをしている花壇がたくさんあることも初めて知り、色づいたアジサイに癒やされた。清掃ボランティアというより、楽しい地域イベントだった。

 ※記者(56)が地域に溶け込もうとする奮闘記。次回は八月四日に掲載。

 

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