東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 暮らし > 暮らし一覧 > 7月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【暮らし】

<食卓ものがたり>脂乗った淡水魚の星 ビワマス(滋賀県米原市)

養殖池で育てられているビワマス=滋賀県米原市の県醒井養鱒場で

写真

 淡水魚というと淡泊な味わいを想像するが、琵琶湖にのみ生息するビワマスはマグロのトロのように脂が乗ってとびきりうまい。そんな話を聞き滋賀県米原市の県醒井養鱒(さめがいようそん)場を訪ねた。

 一八七八(明治十一)年にビワマスの稚魚を増やして放流する「増殖」を目的に設立された日本最古の養鱒場だ。鍾乳洞から湧き出た清流が養殖池を満たす。

 養殖課長の西村哲也さん(47)の案内で、ニジマスやイワナなどが泳ぐ養殖池を横目に見ながら、上流へと進む。最上流にあるのがビワマスを育てるふ化場で、防鳥ネットに囲われた養殖池には千匹ほどが群れて泳いでいた。

 水温一五度程度と、冷たい水を好むサケ科のビワマスの天然物は、琵琶湖の水深一五〜二〇メートルに生息する。完全養殖する技術は約四十年前に開発されたが、他の川魚より時間がかかった。警戒心が強く人が近づくと餌を食べなかったり、傷が付きやすかったりと、さまざまな課題があった。「近くを通るたびに少しずつ餌をやるぐらいがちょうど良いと教わったぐらいです」と西村さん。

 現在は、養殖用に改良した品種を育てており、安定的に稚魚を養殖業者に出荷できるようになった。場内で育てる成魚は近隣の飲食店向けで、体長四〇センチ、七〇〇グラム程度まで育てる。

 天然物の味の良さは折り紙付きで、四十都道府県の漁協が参加した二〇一六年の地魚料理のコンテストで、刺し身に、しょうゆ漬けした卵を乗せた「天然ビワマスの親子丼」が淡水魚としては初めてのグランプリに輝いた。養殖物も年々品質が向上。「脂の乗り具合など味は天然物にはかなわないが、かなり近いところまで来た」と場長の岩崎治臣(はるとみ)さん(73)は話す。

 天然物は近年、年間二十〜三十トンの漁獲高があり、養殖物の出荷高も年々近づいている。とはいえ、希少であることは変わらず、味わうには滋賀県内に足を運ぶ必要がある。岩崎さんは「滋賀県のブランドとして定着させるためにも、安定的な生産を続けていきたい」と力を込める。

  文・写真 稲田雅文

写真

◆味わう

 隣接する「養鱒センターきたがわ」で、養鱒場産のビワマスの姿造り(5940円)=写真=を食べた。サーモンピンクの身にしょうゆを付けて口に運ぶと、トロッととろけるような舌触り。臭みはない。

 経営する北川良太郎さん(47)は「さばいてから1、2日、冷蔵庫で寝かせた方が、さらにまったりとした舌触りになってうま味も増すんです」。ビワマスのほか、イワナとニジマスも合わせたコース料理(4200円)もある。料金はいずれも税込み。(問)同店=電0749(54)0318

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報