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【暮らし】

<よーく考えよう相続>子名義の通帳、実際は親が管理 「暦年贈与」で課税ケース

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 二〇一五年の相続税の増税で、中流層でも都市部に自宅を持つ人などは、課税対象となる可能性が高くなった。毎年、贈与税の基礎控除額で非課税となる百十万円までを子や孫に渡す「暦年贈与」を検討している人がいるかもしれないが、実質的に本人の預金と判断され、課税対象となるケースがあり、注意が必要だ。確実に暦年贈与が実行できるようにするには、税理士の助言を得るほか、手助けする信託銀行のサービスもある。 (稲田雅文)

 「相続税の税務調査では、名義預金かどうかの判断に、全体にかかる労力のうち半分ぐらいの力を入れているんです」と説明するのは、税務職員だった経歴があり、実際に調査に当たったこともある荒井伸也税理士(名古屋市中区)。

 名義預金とは、子の名義の通帳や印鑑を親が管理し、子に黙って毎年振り込んでいたケースなどを言う=図。贈与は、贈る側ともらう側が合意して初めて成立する。子が贈与の事実を知らないと、口座名義は子であっても親の財産とされ、修正申告を求められる。「あくまでその財産の実態を税務署は見ています」と荒井税理士。

 贈与税の基礎控除額の範囲内であっても「今後十年間、毎年の誕生日に百万円、計一千万円をあげる」とあらかじめ約束すると、贈与の約束をした年に将来にわたって一千万円がもらえる権利の贈与があったとみなされて、一千万円に対して贈与税が課税される。口頭の約束でも契約として成立するため注意したい。一括の贈与と判断されると、税率が高くなってしまう。

 では、どうすれば間違いがない暦年贈与ができるのか。荒井税理士は「毎年、だれにいくら贈与するかを判断しながら、贈与する相手が自由にお金を引き出せる口座に入れることが大切」と説明する。

 念入りに記録を残したい場合は、贈与を実行する都度、贈与契約書を作成する人もいる。すでに実行している人で名義預金に該当しないか不安な場合は税理士に相談したい。

 相続が発生した場合、過去三年間の贈与は基礎控除額の範囲内でも相続財産に組み込まれて、相続税の対象になる。暦年贈与を検討している場合、早めに始める方が有利だ。

 暦年贈与を確実に実行できるように、三菱UFJ信託銀行が一四年に発売した商品が「暦年贈与信託おくるしあわせ」だ。

 このサービスでは、贈与を希望する人から現金(五百万円以上)を預かり、贈与したい三親等以内の親族を指定しておいてもらう。親族は複数人登録できる。年一回、信託銀行からだれにいくら贈与するのかを質問する書面が届き、希望を書いて返送すると、もらう側の意思も確認した上で、贈与を実行する。

 贈る側、もらう側双方が同行の口座を開設する必要はあるが、手数料無料でサービスを受けられる。贈与の記録が残る上、毎年書面が届くため、贈与の機会を忘れることもない。

 「遠くに子が住んでいるケースで、郵送だけで贈与が実行できるので便利、という声が寄せられている」と小谷亨一・同行リテール企画推進部企画グループ担当部長は話す。累計契約件数は一万六千件(契約金額千八百億円)に上り、じわじわと件数を伸ばしている。孫に教育資金(千五百万円まで非課税)を贈与した人で、結婚していない子もいるケースでは、子の間の平等感を保とうと利用する人が多いという。

 他の信託銀行でも同様のサービスをしている。

 

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