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【暮らし】

多彩な保育人材育成へ 主婦、社会人、元保育士など 専門学校、短大が尽力

ビニールシートをつなげてトンネルをつくる受講生たち。自身が楽しみながら「子ども目線」を学ぶ=名古屋市中村区で

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 全国的に保育士不足が課題となる中、幅広い年齢層の人が保育士資格を取るのを支援したり、結婚などを機に退職していた元保育士の再就職を促したりする動きが出てきている。愛知県内では、専門学校や短大が、授業の時間やカリキュラムを工夫し、多彩な保育人材の育成に努めている。 (花井康子)

 「未就園児が中に入って遊べる、大きなトンネルをつくってみましょう」。保育士の資格取得を目指す十〜三十代の男女九人が、相談しながら手を動かす。「もっと真っすぐ」「きれいな配色にしよう」。カラフルなテープやビニールのシートを手に、和気あいあいとした雰囲気。保育士を養成する専門学校「こども芸術学院」(名古屋市中村区)の授業の一こまだ。

 同学院は、デザインやイラストの専門学校を運営する学校法人敬道学園が今春開設したばかり。「高校新卒者だけでなく社会人や子育て経験のある人など、誰でも保育士を目指せるように」が理念。芸術活動を通じて、子どもの感性や創造力を伸ばす人材を育成する。受講生には 「子どもの視点で楽しむこと」を大切にするよう呼び掛けている。

 受講生には、社会人や一人親家庭の母親もいる。子育てなどと両立しやすいように、授業は平日の午前中のみ。カリキュラムは三年間。保育士や幼稚園教諭を育成する豊岡短大(兵庫県豊岡市)こども学科の通信教育課程との併修で、卒業と同時に保育士資格と幼児教育学の短期大学士の資格を取得できる。

 経済的にも支援する。返済不要の特別奨学金制度を本年度に限って導入。受講生九人中七人が利用している。四歳と一歳の二児を育てる愛知県春日井市の主婦寺嶋香織さん(33)は「子育てしながらでも通えるので無理がない。資格が取れたら子どもに関わる仕事がしたい」と笑顔を見せた。

 理事長の牧野健介さん(46)は「保育士の確保は急務だが、誰でもできる仕事ではない。新卒だけでなく社会人などの経験を生かし、子どもときちんと向き合える人材を育て、保育の質の向上につなげたい」と話した。

◆再就職支援セミナーも

 保育人材の掘り起こしを目指す教育機関は他にもある。愛知文教女子短大(同県稲沢市)内の足立学園総合研究所は、保育士資格はあるものの、実際に保育の仕事に就いたことがない人や、ブランクがある人らの再就職を後押しする「潜在保育士再就職セミナー」を二年前から開いている。受講は無料で、今年は三十〜七十代の十三人が参加した。

 全五回の講座では、子育て事情の変化や安全管理、保護者対応などを同短大教員らが講義。同市内の保育園や児童センター、短大内の子育て交流ルームなどで実習や演習も実施する。修了すると、近隣保育施設への就職を支援。二〇一七年十月現在で、修了した二十五人のうち十四人が保育園などに勤務している。

 同県清須市の江口美智子さん(58)は、自身の子育てなどを理由に七年前に働いていた保育園を離職。子育てが落ち着き「もう一度子どもに関わる仕事をしたい」 とセミナーを受講した。 江口さんは「保育事情が変わっていることに驚いた。例えば、危険性が指摘されているうつぶせ寝は、以前はどちらかと言えば推奨されていた。変化に対応できるようにならないといけないと実感した」と話した。

 セミナーを担当する同短大幼児教育学科准教授の真下あさみさん(56)は「保育へのニーズは多様化し、施設の形態もさまざま。セミナーで学び直し、再就職のきっかけになれば」と力を込めた。

 

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