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【暮らし】

<わたしの転機>笑いで伝える口腔ケア ベテラン歯科衛生士が65歳で漫談家デビュー

「おんなきよまろ」として漫談で口腔ケアの大切さを伝える精田紀代美さん=富山市で

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 独自の口腔(こうくう)ケア技法を考案し、誤嚥(ごえん)性肺炎を防いでいる歯科衛生士の精田(せいだ)紀代美さん(67)=富山市五福=は、65歳で「おんなきよまろ」の芸名でデビュー。漫談ライブを中高年向けの健康セミナーなどで開き、舌の掃除や正しい歯の磨き方などの口腔ケアを、笑いを交えながら指導している。

 歯科衛生士というと歯科医院などに勤めるのが一般的ですが、独立を常に考えてきました。高校生のころ読んだ本で、独立できる職業だと書いてあったからです。しかし、資格を取って実際に働いてみると歯科医師の補佐でした。富山県が保健所で働く歯科衛生士を募集しているのを知り、「その方が独立性が高そうだ」と応募。子どもの虫歯対策に走り回りました。

 四十二歳で県庁で計画を練る仕事になりました。「現場に戻りたい」との思いが募って五十歳で退職し、歯ブラシ屋を開業。しかし、歯ブラシを求めるお客さんは少しだけ。ある日、ある女性に「磨き方が分からないから磨いてほしい」と頼まれました。磨いてあげると「磨き方が分かった」と言うのです。他の人を磨いても、同じことを言うので「歯磨き屋にくら替えしよう」と思い立ちました。

 歯ブラシ千本を買って、千人の歯を磨きました。道具や技法を確立し、二〇〇三年に口腔ケア専門の歯科衛生士事務所を開業。〇九年に、介護施設の職員に対する口腔ケアの指導を依頼されました。週二回、入浴時に集中してケアする技法を考え、指導しました。県内十カ所の施設で指導していますが、一三年に全施設で誤嚥性肺炎による入院がゼロになりました。

 結果が出ると今度は「元気なときから口腔ケアをしていれば、寝たきりにならないのに」と思うようになりました。でも、健康セミナーなどを開いても、関心を示してくれません。ある人に悩みを打ち明けると「あんた話うまいし、笑いで伝えたら?」と言われ、芸名まで考えてくれました。「えっ、笑いで?」と戸惑いましたが、七十歳までの五年間だけやろうと覚悟を決めました。

 衣装とかトーク内容を考え、六十五歳でデビュー。あちこちから声がかかるようになりました。

 でも、おんなきよまろは七十歳で引退するつもり。その後は経験を生かし、歯科医師と患者をマッチングさせる活動をしたいと思っています。 (稲田雅文)

 

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