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【暮らし】

マンションの大規模修繕積立金 定期的に計画見直しを

 マンションの維持に欠かせないのが、十数年ごとの大規模修繕工事だ。毎月住民が支払う修繕積立金が工事に使われるが、その金額は将来予想される工事をまとめた長期修繕計画が根拠となる。計画の漏れが判明して修繕積立金の値上げに踏み切る管理組合もあり、定期的に見直しをしておきたい。 (稲田雅文)

 名古屋市内の分譲マンション(約八十戸)の管理組合は二〇一七年一月から、毎月集めている修繕積立金を一律八千円値上げした。

 建設されておよそ三十年。外壁の補修や屋上の防水工事など二回の大規模修繕工事を終えている。値上げ前の修繕積立金は専有面積に応じて七千五百〜八千円だったので、倍増したことになる。

 値上げに踏み切ったのは、長期修繕計画に漏れがあったためだ。数年前に給排水管のメンテナンスをした際、将来的に管の取り換えをする必要があると分かったが、計画には入っておらず、集めている修繕積立金の額では足りないことに修繕委員会が気付いた。

 このマンションは、管理会社を使わない自主管理で組合を運営。階段の清掃といったメンテナンスは日を決めて分担して実施するなど、普段から住民間のコミュニケーションが取れていた。修繕委員会が数年にわたって給排水管の取り換えの計画と修繕積立金の増額について検討。段階的に引き上げる案もあったが、事務の手間なども考慮して一気に引き上げることにした。経過は住民に報告していたため、値上げは総会で全会一致で決まった。

 中部マンション管理組合協議会の遠山哲男会長は「修繕積立金が不足して困っているという管理組合からの相談が寄せられることがある。過不足のない修繕積立金を設定するには、長期修繕計画をきちっと立てておく必要がある」と指摘する。高齢化などで家計に余力がない住民が多いマンションの場合、値上げができない可能性もある。

 国土交通省による一三年度のマンション総合調査によると、一戸当たりの修繕積立金の平均は月一万一千八百円(駐車場使用料など別名目で徴収したお金からの充当額を含む)。金額の根拠となる長期修繕計画を作成している管理組合の割合は89・0%で、修繕積立金を計画に基づき決めた組合は79・5%に上った。

 ただ、新築で計画期間三十年以上の長期修繕計画に基づき修繕積立金の額を設定している割合は〇九年から一三年の五年間の平均で64・5%。大規模修繕を実施したことがある管理組合のうち、修繕積立金だけで工事費がまかなえたのは80・0%で、残りは住民から臨時でお金を集めたり、融資を受けたりしていた。

 同省が一一年に策定した指針では、修繕積立金はマンションの規模などに応じ一平方メートル当たりの月額は百七十八〜二百十八円を目安とした=図。十階建て未満、延べ床面積が八千平方メートルのマンションで、八十平方メートルの専有面積がある場合では、一万六千百六十円となる。

 指針では、建物が階段状になっているなど複雑な形状のマンションや超高層マンションの場合、外壁などの修繕のため設置する足場などの費用が高くなる傾向があると指摘。エレベーターや機械式駐車場の有無、玄関ホールや集会室の規模などでも工事費が変動するとしている。

 遠山会長は「長期修繕計画の見直しなどで修繕積立金の値上げが必要だと分かった場合は、管理組合は根拠を示して住民の合意形成を進めていくことが大切だ」と語る。

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