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【暮らし】

受け入れ10年 EPA外国人介護職 求人増え獲得競争に

現地合同説明会で、日本での就労を希望するEPAスタッフ候補者に仕事や生活について説明するサンチャゴさん(右)=マニラで(サンライフ、サン・ビジョングループ提供)

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 経済連携協定(EPA)に基づき、日本が外国人の介護職を受け入れるようになって今年で十年。昨年度までにインドネシア、ベトナム、フィリピンの三カ国から計約三千五百人が来日し、日本の高齢者施設に溶け込みつつある。一方、日本人は介護職離れが進んでおり、現場の人手不足を補うため、施設によるEPA人材の獲得競争が始まっている。 (出口有紀)

 「夕食は無料のパクパク」「ノーリフティングで介護」…。七月下旬の一週間、マニラで開かれた日本の施設の合同説明会。介護施設を運営する日本の計百三十一法人が出展して、働きやすさ、生活しやすさをアピールした。

 愛知、岐阜、長野の三県で特別養護老人ホーム(特養)などを運営する社会福祉法人サンライフ、サン・ビジョングループのブースでは、昨年十二月からグループの特養で働くフィリピン人スタッフ、サンチャゴ・メリ・アン・アクランさん(32)が、日本の介護現場で使われる単語を交えたり、写真を見せたりして説明した。「パクパク」は弁当という意味のタガログ語、「ノーリフティング」は介護職が入所者を抱き上げるような負担が重い介護はしていないということだ。

 サンチャゴさんは一日で六十五人に説明。「給料や学習支援の情報が人気だった」と話す。同グループで、採用を担当する事業創設戦略部長の山本さやこさん(48)は「口コミが一番効果的なので、フィリピン人職員の大学の後輩や友人にも声を掛けてもらった」と話す。

 説明会は、日本での受け入れを仲介する国際厚生事業団(東京都港区)が主催。EPAの職員のメッセージ映像を流したり、日本人職員が浴衣で臨んだり工夫を凝らしたという。

 EPAは、貿易や投資、人の移動などが自由にできるよう、二国間や地域間で結ぶ協定。介護分野では二〇〇八年度にインドネシア、〇九年度にフィリピン、一四年度にベトナムからそれぞれ受け入れを開始。看護学校卒業者や四年制大学、三年以上の高等教育機関を卒業し介護士資格を取得した人らが対象となる。現地と日本で研修を受け、日本人と同じ待遇で受け入れ施設で働く。実務経験を三年以上積んで、介護福祉士の国家試験を受け、合格すれば在留資格を得られる。

 事業団によると、ここ数年、受け入れ人数を大幅に上回る求人が出ているという。本年度は、ベトナムから百九十四人を受け入れる予定だが、求人数は三・七倍の七百十九人だ。担当者は「国内で介護人材の不足感が顕著になってきたことと、EPAで来たスタッフが活躍できる人材ということが伝わってきたからではないか」とみる。

 同グループが、外国人の採用に目を向けたのは一五年。山本さんは「今後、日本人だけでは、介護人材の確保は無理になると判断した」と振り返る。先行してEPAの職員を受け入れる他の施設で戦力になっている様子を聞き、一六、一七年にフィリピンとベトナムから三十九人を採用。本年度は両国から十八人を受け入れ見込みで、来年度はインドネシア人の採用にも乗り出す予定だ。「看護や介護能力も高く、日本語の表現も丁寧で、施設を利用するお年寄りにも好意的に受け入れられている。獲得競争は激しくなると思うが、ここで戦うしかない」と気を引き締める。

 

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