東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 暮らし > 暮らし一覧 > 8月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【暮らし】

心臓「MR」 カテーテル治療 保険適用 高齢患者、広がる選択肢

超音波のモニターを見ながら進められるマイトラクリップ治療=名古屋市の名古屋ハートセンターで

写真

 心臓の僧帽弁がうまく閉まらなくなり血液が逆流したりする僧帽弁閉鎖不全症(MR)を、外科手術をせずカテーテルを使って治療する「マイトラクリップ」が4月から保険適用された。体の負担が少なく、これまで高齢などの理由で外科手術を断念していた患者にとっては、大きな朗報だ。 (編集委員・安藤明夫)

 七月上旬、名古屋市東区の心臓血管専門病院「名古屋ハートセンター」で、マイトラクリップの三例目の治療が行われた。

 全身麻酔が施された七十代の男性患者の脚の静脈から、カテーテルが心臓へ伸びていく。心臓の裏側から当てる超音波のモニター映像を見ながらの手技だ。

 心臓内にある四つの弁のうち、左心房と左心室の間にあるのが僧帽弁。この動きが悪くなって、うまく閉じなくなると血液が漏れたり、逆流したりするのがMRだ。息切れ、呼吸困難、むくみなどの症状が起きてくる。推定患者二百万人といわれる心臓弁膜症の中でも、大動脈弁狭窄(きょうさく)症と並んで多いのがMRで、高齢化とともに患者は増えている。

 超音波で二枚の弁の動きを観察し、問題のある場所を特定。マイトラクリップの機器にカテーテルを接続し、先端へクリップを送り込む。機器を操作してクリップで二枚の弁を同時に挟み込んだ後、カテーテルを抜く。クリップで二つの弁をつなぐことで、弁の開閉が改善するという仕組みだ。治療時間は、麻酔を含め平均三〜四時間。入院は数日で済む。

 同治療のリーダーの循環器内科医・山本真功(まさのり)医師(40)は、心臓外科医とコンビを組み、弁の動きなどについて意見を聞きながら治療を進めていく。「これまでのカテーテル治療はエックス線の透視画像を見ながら進めていたが、超音波は未経験。この習熟が大変で、シミュレーターを使ったり、海外の治療施設を見学したりしました」と話す。クリップで弁を二枚同時に挟めなかった場合は、クリップを置き直すか、手術に切り替えることになるが、世界各国の治療例でもそうしたトラブルは数%程度で、安全度は高いという。

写真

 日本循環器学会が治療施設を認定しているが、東京、大阪方面に多く、中部地方では同センターと、系列の豊橋ハートセンター(愛知県豊橋市)の二カ所だけだ。

 カテーテル治療の対象となるのは、MRと診断された患者の中で「外科治療はリスクが高く困難」と言われたり、薬で治療中だが息切れなどの症状が残っていたりする患者。山本医師は「MRは心臓の形状を含め治療しなければならないケースもあり、あくまで第一選択は外科手術。だが、高齢などの理由で手術ができない人はかなり多く、選択肢として考えてほしい」と話す。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】