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【暮らし】

テレビドラマで脚光 患者の判断支える 治験コーディネーター

治験の中身を説明する治験コーディネーター(右)=東京都新宿区の国立国際医療研究センター病院で

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 新しい医薬品や医療機器などの承認を国から受けるため行われる臨床試験(治験)。大きな病院では年数十件の治験を受け入れており、被験者として治験参加を求められることもありうる。その時にサポート役となるのが、治験コーディネーター(CRC)。TBSの人気ドラマ「ブラックペアン」で登場するなど話題になった。どんな資格でどんな仕事をしているのか。 (五十住和樹)

 国立国際医療研究センター病院(東京都新宿区)で入院中の男性(62)は、肺がん治療薬の治験に参加している。治験に際し、男性は病院所属のCRCから詳細な説明を受けたことが印象に残っている。「慎重に言葉を選んで話してくれた。薬剤名など難しい言葉を質問する機会もあった」

 CRCはどんな仕事をしているのか。大阪市の病院でCRCとして勤務し、今は国立病院機構本部(目黒区)の治験推進室長としてCRCを支援している森下典子さん(53)に聞いた。

 CRCは、患者に寄り添い不安を解消するための相談相手でもある。看護師資格を持つ森下さんは「患者が納得し、安心して治験に向き合うサポートができる」とやりがいを語る。

 治験に際し、まず医師が概略を説明するが、その後CRCが別室で患者に分かりやすく丁寧に説明する。森下さんは「詳細な診察や検査を受けられるメリットや、副作用などのデメリットなど、説明は一時間近くになる」と話す。

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 心構えとして、森下さんは「患者が質問する機会の確保と、治験に参加するかどうか判断するための十分な時間が大切」とする。治験途中でやめられることも明確に伝える。

 ほかにも、治験期間中の患者のスケジュールを調整したり、診察後に患者の検査データや服薬状況などを詳細にチェックして副作用が出ていないかを確認したりするのも仕事だ。

 ドラマでも描かれた「負担軽減費」について、CRCの認定試験をしている日本臨床薬理学会の理事長、渡辺裕司さん(60)は「治験を受けるため必要な交通費や食事代などとして通院一回当たり七千円程度が目安」と説明する。

 治験を行う場合、製薬会社などが治験実施計画書をつくり、病院の治験責任医師と合意して始まる。病院の治験審査委員会から安全性や倫理性などで承認を得たら、製薬会社と病院が治験契約を結ぶ。CRCは審査委開催前から関わり、責任医師を中心に院内の体制を整えたりもする。

 病院と患者をつなぐ役割でもあり、専門知識のある看護師や薬剤師、臨床検査技師などの資格を持つ人が多い。国家資格はないが、日本臨床薬理学会や日本SMO協会などが認定試験を実施。病院所属以外でも、治験施設支援機関(SMO)と呼ばれる臨床試験業務を代行する企業が病院に派遣する場合がある。

◆臨床薬理学会が“抗議”

 病院を舞台にしたドラマ「ブラックペアン」では、治験を受けるか迷っている患者に高額の小切手を手渡したり、医師を高級店で接待したりするCRCの姿が描かれた。これに対し、日本臨床薬理学会が放映期間中に見解書をTBS側に出す異例の事態に。理事長の渡辺裕司さんは「これまで築き上げてきた患者とCRCの信頼が崩れ、協力を得られなくなってしまう」と、見解書を出した理由を話した。

 

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