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【暮らし】

年休消化へ企業が挑む 来年度、法改正で「取得義務化」

有給休暇取得のペース配分表などを見ながら、休み方をアドバイスする岡元朋子さん(左)=東京都渋谷区で

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 働き方改革が進む中、従業員が休みやすい環境を整える取り組みが広がっている。休み方をアドバイスする役職を置いたり、連休を取った社員に手当を出したり。年次有給休暇(年休)取得を増やそうと、来年四月からは、新たに年休が十日以上与えられた労働者に、日を指定して一年間で五日間を取得させることが使用者に義務付けられるため、動きが加速しそうだ。 (山本真嗣)

 「毎月一度は金曜などに半休を入れて“プチ休暇”にすると、生活にリズムができていいよ」

 化粧品販売「メディプラス」(東京都渋谷区)の岡元朋子さん(48)が商品開発担当の鶴岡里沙さん(31)に笑顔で語りかけた。

 岡元さんは、社員の年休取得日数や残業時間を管理し、改善方法を助言する「チーフ・スマイル・オフィサー(CSO)」。三年前に新設された役職だ。社員一人ずつに年一回、「有給休暇カウンセリング」を実施し、年間の大まかな取得計画を立ててもらい、実績を一緒に確認する。

 同社の社員手帳には、カウンセリング時の年休日数と有効期限、取得予定日を記入する「ペース配分表」のページもある。以前は自分の年休日数を知らない社員もいたが、昨年九月から一年間の取得率は役職を新設する前の倍の62%。岡元さんは「いつ休み、何をするかを考えることで生き方を見つめ直し、より良い仕事をしようという意欲につながる」と話す。

 ベンチャーのIT会社「ロックオン」(大阪市)は創業当時、社員が休みを取ろうとしなかった状況を改善しようと、二〇一一年から全社員に年一回、九連休の取得を義務付けた。四日間は土日、二日間は年休を活用、三日間は特別休暇だ。

 期間中は電話やメールを含め、会社との連絡は一切禁止。引き継ぎを徹底して業務の属人化を防ぐことも目的の一つで、広報の金ナリさん(35)は「普段から業務をマニュアル化したり、情報交換したりして仕事を共有することで、休みやすくなっている」という。

 リクルートキャリア(東京都中央区)は前身のリクルートエージェントの時代から年一回、連続四日以上の年休を取得した社員に五万円の手当を支給している。毎年九割近くの社員が制度を利用しており、広報部の池津祐樹マネジャー(30)は「仕事が好きで休まない人もいる。休むきっかけづくり」と話す。

 子育て支援と連動した取り組みもある。十六銀行(岐阜市)は昨年、男性行員が妻の出産予定日の前後に計三日間、休める制度を導入。人事グループの島田文章課長代理(38)によると、以前も妻の出産で年休を使う行員もいたが「制度化して取りやすくした」といい、昨年度は対象者の九割以上が利用した。

 厚生労働省によると、一六年の一年間に労働者に与えられた年休は平均一八・二日だったが、実際に取得されたのは九・〇日(49・4%)にとどまる。六月の労働基準法改正で、十日以上の年休が新たに与えられた労働者には、付与から一年以内に本人の希望を踏まえて期日を指定し、五日分を取らせることが企業に義務付けられた。違反すれば、罰則もある。

 銀行勤務の経験がある名古屋学院大教授の江口忍さん(53)は「人手不足の中、働き方改革を進めなければ良い人材が獲得できなくなっている」と指摘。「ただ、形だけ休みをとっても、自宅に仕事を持ち帰っていては意味がない。本当に休めるような配慮や管理を、上司らがしているかをチェックし人事査定に反映することも必要」と話す。

 

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