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【暮らし】

寝だめは逆効果 体内時計乱れ疲労蓄積

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 平日の睡眠不足を週末の寝だめで解消しようとする人は多い。でも、ちゃんと寝たつもりでも週明けに眠気を感じるのはなぜ−。睡眠研究の専門家は「月曜朝がつらいのは、時差ぼけ状態になっているから」と指摘する。海外旅行で生じやすい心身の不調に似ているため、「社会的時差ぼけ」といわれる。慢性化すると肥満や生活習慣病につながる。軽視できない。 (五十住和樹)

 社会的時差ぼけ(ソーシャルジェットラグ)は、ドイツの大学教授ローネベルク氏(時間生物学)が二〇〇六年に提唱した。起きて太陽を浴びる時間が平日と休日とで大きくずれ、海外旅行のような時差ぼけ状態になるという。

 具体的に見てみよう。平日は午前零時に寝て、朝六時に起きる人が、休日は午前二時に寝て朝十時に起きたとする。睡眠時間は二時間増えているが、睡眠の中央値は三時間ずれる=図。次に平日は午前一時に寝て朝六時に起きる人が、休日は夜更かしして午前四時に寝て、昼すぎの午後二時まで寝ていたとする。睡眠は五時間増えたが、中央値は五・五時間ずれる。

 中央値のずれが「時差ぼけ」の正体だ。睡眠を研究している明治薬科大准教授の駒田陽子さん(46)は「三時間のずれはインド、五・五時間はドバイとの時差に近い。週末に旅行して週明けに仕事をするのと同じ」と話す。休日の寝だめ以外にも、日勤と夜勤を繰り返すシフトで働く人も社会的時差ぼけになりやすい。

 ただ中央値を変えずに睡眠時間を増やしても、「週末の寝だめではカバーできない」と駒田さん。起床と就寝時間が大きくずれると、さまざまな生理現象を調整する体内時計が乱れ、疲れが残るという。睡眠はリズムも大切というわけだ。

 日本人にとって休日の寝だめは一般的だ。大塚製薬が今年三月に行ったネット調査では男性の41%、女性の38・8%が平日の睡眠不足解消のため寝だめしている。

 しかし寝だめはリズムを乱してしまう。オーストラリアの研究者らが二〇〇八年に発表した研究結果では、健康な人が金曜と土曜の夜に寝たいだけ寝て朝寝坊した場合、眠りの合図として脳分泌されるホルモン「メラトニン」の濃度が高くなる時間帯が日曜夜は一時間近く遅くなることが分かった。つまり、翌日に備え早めに寝ようとしても、寝付けなくなるわけだ。

 日本人の平均睡眠時間は七・四時間で、米国の八・八時間など各国と比べて目立って短い(経済協力開発機構=OECD=の二〇一八年調査)。「成人の場合、睡眠時間は七〜九時間必要」(駒田さん)。多くの人が必要時間数を確保できていない「睡眠負債」を抱えている状態だ。

 では負債を解消するにはどうすればいいか。駒田さんは「休日の寝だめでは解消は難しい」とする。スッキリとした目覚めのコツは、(1)平日も休日も起きる時間を変えない(2)朝日を浴びて体内時計をリセットする(3)昼食後など眠気があれば、目を閉じて十〜二十分仮眠する−などとアドバイスしている。

 

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